クルーズツアーで訪台外客誘致 海外台商綜合旅行社

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世界各地で活躍する台湾人華僑らによって設立された海外台商綜合旅行社は7月28日、同社としては初めての主催となるクルーズツアーの記者会見を基隆港で行った。クルーズツアーは近年世界的に注目を集める旅行形態。馬英九政権は訪台外客数を1000万人にする目標を掲げており、クルーズツアーの実施でさらなる外客誘致と消費拡大を図る。

 

サンプリンセス号
サンプリンセス号

 

海外台商綜合旅行社は、中華民国政府が奨励する華僑の台湾投資に呼応する形で、全世界で活躍する華僑125人の共同出資によって設立された旅行社。同社は7月23日に、アメリカのクルーズ会社プリンセス・クルーズと共同で初めとなるクルーズツアーを出港させた。初回となった今回のツアーは、日本−台湾−香港を7泊8日をまわるもの。記者会見はクルーズ船の基隆港入港に合わせて行われた。

 

記者会見会場
記者会見会場

 

海外台商綜合旅行社の呉松柏董事長は、クルーズ船の乗客は寄港地で一人平均149アメリカドルの経済活動を行うことに触れ、「2000人の乗客がいると仮定すれば、少なくとも一日に30万アメリカドルが消費される」とクルーズツアーがもたらす経済効果を強調した。立法院洪秀柱副院長は「豪華クルーズ船を台湾の津々浦々に停泊させたい」、「台湾を多くの人に知ってもらいたい」と希望を語った。また、その為には「台湾人の旅行概念を変え、港湾施設の改良も必要だ」と、クルーズ船の受け入れ態勢を整える必要があることにも言及した。

 

7階部分のデッキ
7階部分のデッキ

 

一方、交通部の葉匡時部長は「アジア太平洋地区のクルーズツアー乗客は毎年8%ずつ増加している」とし、全世界の平均よりも上回っていることに注目する。また以前は認められていなかった中国大陸−台湾間の直行クルーズ船運行が、来年から解禁されることや、台湾国内の寄港地複数カ所に寄港する際、その都度必要だった手続きが昨年から一本化されたことにも言及。クルーズ船の寄港誘致に向けた取り組みをアピールした。

 

船内を視察する交通部葉匡時部長(右2)と立法院洪秀柱副院長(右3)
船内を視察する交通部葉匡時部長(右2)と立法院洪秀柱副院長(右3)

 

記者会見には、僑務委員会呉英毅委員長をはじめ、海外台商綜合旅行社の株主、10人以上の立法委員も参加。政府と民間が一丸となってクルーズツアーの実施や誘致に取り組む意気込みが感じられた。また、海外台商綜合旅行社は、将来的には7泊8日の台湾一周クルーズツアーを計画しており、台湾人以外にも中国人や欧米からの観光客も利用できる新しい台湾一周のツアーを提供したいとしている。このツアーでは基隆や高雄以外にも、花蓮、台中や澎湖、金門、馬祖といった離島への寄港も検討しており、港湾施設の改良や充実を各方面に働きかける考えだ。

 

(前列左から)僑務委員会呉英毅委員長、交通部葉匡時部長、立法院洪秀柱副院長、海外台商綜合旅行社呉松柏董事長
(前列左から)僑務委員会呉英毅委員長、交通部葉匡時部長、立法院洪秀柱副院長、海外台商綜合旅行社呉松柏董事長