「栄民の家」で聴く、元国民党兵士の想い~老兵達にカメラを向けたドキュメンタリー映画、待望の公開~

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台湾におけるドキュメンタリー映画監督の林雅行さんが12月12日、虎ノ門の台湾文化センター内で新作発表試写会を開催し、「老兵挽歌」を発表した。

ドキュメンタリー映画「老兵挽歌」
ドキュメンタリー映画「老兵挽歌」(提供:クリエイティブ21)

同作は、1949年、中国大陸での内戦に破れ台湾に渡った元国民党の兵士達の今を記録したドキュメンタリー。退役後に「栄誉国民(栄民)」と名付けられた彼らのなかで、特に独り身である老兵に焦点を当て、現在彼らが暮らす「栄民の家」と言われる軍事施設にカメラを入れ、そこで集団生活を営む何人かの老兵にインタビューを敢行するなど、心のうちに秘めた想いを的確に描写した作品だ。同作品はもともと2011年に公開が予定されていたが、当時、尖閣列島の問題などが起因して公開が先送りされていた。

試写会は満席!
試写会は満席!

試写会で作品上映後に登壇した林監督は「2016年の台湾次期総統選挙、馬英九総統と習金平国家主席の歴史的会談など、彼ら(栄民)の中には今、精神的に追い詰められている人も多い。私が老兵たちを取材したときも、『もし民進党政権になったら、自分達の権利を奪われるのではないか』と心配している人もいた。この映画を通じて、彼らを含めて『台湾』という事を知って頂き、歴史の1つの側面として考えて頂ければと思う。台湾社会にも多様な意見があり、彼らも今の民主的な台湾を構成する一員であることを改めて認識し、台湾社会を複眼的に見て頂ければ」と語った。

試写会で登壇した林雅行監督
試写会で登壇した林雅行監督

以前より同作品の情報を知って注目し、公開を心待ちにしていたという30代の女性は、「やっと見ることが出来たこの作品には私たちが知らない台湾が詰まっていた。私自身、栄民の家という施設があることを初めて知り得たし、日本人でこの事実を知っている人は少ないだろう。台湾の歴史のリアルをこの映画は見せてくれた。多くの日本人に観て欲しい」とコメントした。

「老兵挽歌」は1月9日より渋谷のユーロスペースにて上映される。

 

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