羅副代表「日本と台湾の絆」を講演  ~日台稲門会講演会~

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流暢な日本語で講演する羅坤燦副代表

「価値観の共有がカギ」
 早稲田大学の校友を中心に、台湾を愛する人々が台湾との交流を図っている日台稲門会。同会の講演会が6月9日、早稲田大学大隈記念タワー地下の多目的ホールで開かれた。今回は台北駐日経済文化代表処から羅坤燦副代表を講師に招き、「日本と台湾の絆」との題名で講演。当日は100人以上の卒業生、在校生、留学生が詰めかけ、立ち見の傍聴者も出るほど盛況だった。
 羅副代表は、現職5年を超えた。その間、台湾政府は民進党から国民党へと政権が移行。羅氏は、この間の政治変革時期における日台関係の変化に順を追って解説した。また、自らの生い立ちも披露するなど、講演内容は充実したものとなった。
1972年に大学を卒業した副代表は台北・松山空港で働いていた。当時は留学ブームで、副代表は当初アメリカへの留学を希望していた。しかし、親日の父親の希望もあり1976年に来日。4月というのに来日翌日に季節外れの降雪を見て感動した事を思い出した、という。日本では、明治大学大学院の正規の研究生として勉学に励む日々を送っていた、と述懐した。
 一方、日台関係については、1972年の国交断交後、現在は最も良好な関係であり、今後も更に良くなると確信している、とした。日中国交正常化に伴い日本と台湾は正式な国交は断絶した。しかし、経済や文化面で実質的に外交に重点を置いてきたこと、李登輝総統時代に変革したことなどを確信の理由とした。さらに、1990年9月に発生した台湾中部大震災(921震災)時で、日本は発生の翌日に自衛隊のレスキュー隊派遣したことなど、日本の援助姿勢に感動して涙したことも話した。
また、2008年に馬英九総統が就任して以来、台湾は中国との関係改善の政策に舵を変えたが、日米に対しても関係をさらに促進させ、友日親米和中の政治スタンスとなったこと。そして、直近の今年7月より台湾人の日本在留カードの国籍欄の表示変更の実施(中国から台湾への表示変更)などさまざま事象を詳しく述べた。
また、今後の展望について、台湾は法治国家であり、それを守っていくのが台湾人の使命であり、日・米と連携して価値観を共有していくことが大切とした。
 一時間あまりの羅副代表の講演後、質疑応答となった。「台湾の今後の外交政策は」との質問に、台湾の存在はとても特例的。政府としては国際経済の中に台湾を入れなければならず、日本とのFTA締結(自由貿易協定)とTPP参加(環太平洋戦略的経済連携協定)を真剣に考えており、近い将来必ず実現させたいとした。また、「5月に着任したばかりの沈代表についてはどうか」の質問には、沈代表日本に大変興味あり、今は精力的に日本語を勉強している。性格は温厚、真面目で非常に外交センスがある人だと返答した。
講演会は大変な盛り上がりを見せながら閉会。その後、場所を15階のレストランに移して懇親会となった。