アジアは中国抜きでも10億人市場、台湾には大きなチャンスがある

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日本のビジネスシーンにおいて、格安航空券販売ビジネスで起業以来、旅行業、ホテル業、証券業、金融業など、業容を拡大し、現在、アジア経済圏の発展に向け、アジア経営者連合会の活動にも力を入れる株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長澤田秀雄氏に台湾について聞いた。

株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長澤田秀雄氏
株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長澤田秀雄氏
本社がある新宿新都心「新宿オークタワー」
本社がある新宿新都心「新宿オークタワー」

台湾にアジア経営者連合会の支部が設立

Q台湾の旅行ビジネスは

A台湾は一定のお客様が(日本から)旅行をされますし、好調です。当社は現地に台湾企業と合弁で自前の支店を設立(※)しており、台湾ツアーの各種手配などをやっています。日本人スタッフもいますがTOPほかスタッフは台湾の方が多いです。自社のほうが他の旅行会社との間で差別化ができます。仕入れが直接できるため、価格競争力がつきますし、当社オリジナルの新商品も作っています。

※日本の旅行会社のほとんどは、台湾現地のランドオペレーターに委託。

Q台湾の位置づけは

Aかつては利益率の高いヨーロッパやアメリカに力を入れていましたが、会社の規模が大きくなり、今はほとんどの国でビジネスを展開しています。一方、20年前はアジアからのお客様は少なかったのですが、経済的に豊かになり、ローコストエアラインが全盛になって、誰もが旅行できる時代がやってきました。台湾とかタイとか、アジアに力を入れているというのは、単価は安いのですがマーケットの成長は早い。翻ってヨーロッパのマーケットは成長を期待するのは難しいですね。

Q台湾の可能性は

A日本のマーケットは1億人ですが、アジアのマーケットは10億人です。そのアジアの成長が始まったわけで、これは20年~30年前の日本に似ています。成長市場を取り込むと同じ1の力でも1.5になりますが、成長市場でないと1か0.8になりますから。台湾やアジアはまだまだ面白い。

Qアジア経営者連合会の支部が台湾にできたが

A今回、遅くなりましたが、ようやくできました。良かったと思っています。中小企業が進出すると法律的なことが分かりませんし、だまされると行く人が減りますし、成功事例を多くするために、現地での情報やマーケティングのお手伝いをアジア経営者連合会でできればと。

Q目的は

Aなぜこういうことをやっているかというとやはり、アジアにないものが日本にある。日本にないものがアジアにあるんですよ。助け合えばいずれアジアは世界一の経済圏になるでしょう。大企業はマーケティング能力がありますが、中小企業には調査能力とかマーケティング部とか、信頼度がないわけですから、これをアジア経営者連合会でケアしてあげればお互いに成長する確立が高まります。大企業は日本で2000社程度、中小企業は100万社、アジア全域で1000万社以上、そのパワーがうまく機能すれば5年、10年後、アジアは世界一の経済圏になる確率が非常に高くなります。

Q役割分担とは

A経済成長でいいますと、台湾、韓国、シンガポールは一歩も二歩もリードしています。その次を追っているのがタイとかマレーシア、中国、その後を追うのがカンボジア、ミャンマー、バングラディシュですから。日本は日本の役割分担、台湾は台湾の役割分担がありますし、これから成長するミャンマー、カンボジアの役割分担もあります。これをキチンとアジアが共有すると非常にいい成長もするし、かつ、欧米を超える世界一の経済圏になる可能性もあります。中国を除いてもですね。とうことで、その活動はアジアの発展になれば、日本にもプラスですし、アジアにもプラスです。

Q台湾について一言

A中国はいろいろありますが台湾はこれからもっとうまくやっていけるという気がします。台湾は親日的ですし、どこの国からも嫌われていませんし、全方位でやれますから有利だと思います。中国ともアジアとも仲良くやれますからチャンスはでかいと思います。また、台湾は、企業がどんどん成長していますので、アジアが発展していけば台湾の役割はもっと大きくなるのではないか。台湾は大いにチャンスがあるんじゃないですかね。

国際チャーター専門航空会社「アジア・アトランティック・エアラインズ」(タイ)を設立、2013年8月、日本・バンコク線の初チャーターを実施
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経営再建に成功したハウステンボス:「光の王国」
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■プロフィール

澤田 秀雄 (さわだ ひでお)

1951年、大阪府生まれ。73年に旧西ドイツ・マインツ大学に留学。在学中、自ら企画した日本人旅行者向けツアーガイドで儲けた資金で世界50カ国以上を旅行。76年に帰国。1980年に上京し、毛皮の輸入販売会社の開業準備をするが、断念。替わって、内外価格差を利用した格安航空券販売の旅行会社インターナショナルツアーズを新宿で開業。売り上げは3、6、12、24億円と倍々に増え、スタッフ数も同様に2、4、8、16人と倍々に増えていった。やがて、格安航空券(個人旅行)から安いパッケージツアー、ビジネスクラス、ハネムーン、団体、添乗員付きツアーに業容を拡大。90年には社名をエイチ・アイ・エス(H.I.S.)に変更し、さらに事業を成長させた。

95年に店頭公開。96年、オーストラリアのゴールドコーストにホテルをオープン。98年には航空会社スカイマークエアラインズ(現:スカイマーク)を就航させた。99年、協立証券の株式を取得し、エイチ・アイ・エス協立証券(現:エイチ・エス証券)の代表取締役社長に就任。2003年にはモンゴルAG銀行(現:ハーン銀行)の取締役会長に就任。2004年に、エイチ・エス証券を大証ヘラクレスに上場させた。現在は、澤田ホールディングス株式会社の代表の他、経団連理事、経済同友会幹事も務めるほか、アジア経営者連合会(2008年設立)の理事長を務める。2012年には、国際チャーター専門航空会社「アジア・アトランティック・エアラインズ」(タイ)を設立、2013年8月、日本・バンコク線の初チャーターを実施。