交流協会大橋光夫会長の“台湾”とは

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日本の対台湾窓口機関である交流協会の大橋光夫会長(昭和電工最高顧問)は2月16日、台湾新聞の取材に応じ、日頃より感じている台湾への想いについて語った。

交流協会の大橋光夫会長
交流協会の大橋光夫会長

台湾との出会い――――――――――――――――――――――――――――――――

大橋会長が台湾と出会ったのは1981年。台湾の日系テレビ工場向けに高雄で樹脂成形の外枠材を製造する昭和電工の関係会社を訪れたのが最初だ。それから約34年、台湾と昭和電工とのビジネス上の関わりの中で台湾と深く親交を深めて行った。

特に印象深い出来事として挙げたのは、従来より技術を供与していた台湾中国信託商業銀行グループのハードディスク(以下HD)メーカー Trace Storage Technology Corp. (以下 トレース社) を2004年に買収したことと、台南に半導体向けの高純度ガス工場を建設したことだ。どちらも大橋会長が昭和電工の社長を務めているときに行われた。特にトレース社の買収については、故・台湾中国信託商業銀行ジェフリー・クー(辜濂松)董事長(日本の会長に相当)と直接トップ間で数回協議したが、2人の信頼関係が実現の鍵であったという。なお、大橋会長によると、現在、HD事業は昭和電工の最重要なビジネスの1つであり、世界の約4分の1のパソコンに同社のHDが入っているほどに成長している。

 

 

交流協会の会長として―――――――――――――――――――――――――――

2011年6月に交流協会の会長に就任してから4年弱、大橋会長が台湾と署名してきた取り決め等文書は「日台電子商取引取り決め」、「日台観光事業協力覚書」、「オープンスカイのための交換書簡」など数多く存在する。その中でも自身が考える1番の成果は、「やはり、約17年間も交渉を続けながら、なかなか合意に至らなかった『日台民間漁業取り決め』の署名」とし、「私にとっても印象的」だと話す。「安倍首相も馬英九総統も本当に喜ばれたし、取り決め後の操業時にも大きなトラブルがないということは素晴らしいこと」と述べた。

日台間のEPA(経済連携)については「今までにも上述のように様々な取り決め等を行ってきて、ベースは出来ている」としながらも、「現時点で、いつ日台のEPAに署名できるかを予測することは難しい」と述べた。ただ、「自分としては、日台間で経済連携を強化していくことは双方が望んでいることであり、その方向に向けて検討が進んでいくことは間違いないと思う」と述べ、今後の日台関係に期待を示していた。

日台間の投資状況についても言及。「『日台民間投資取り決め』の署名以来、日本から台湾への投資は中小企業でも増えつつあり、日台の企業が共同で中国に進出することも期待できる。大事なことは台湾から日本への投資だ。東京スター銀行を中国信託が買収したことは非常に象徴的だが、これはまだまだ始まりだ。『日台民間投資取り決め』は日台双方の投資を促進する上で極めて重要だ」と話した。台湾からの投資状況について、従来は不動産が多いとしており、これからの交流協会の課題は産業面での投資を増やすことだと問題点を提示した。

 

これから日台関係を担う若者へ―――――――――――――――――――――――

戦後、台湾には日本語を話せる台湾人が多く存在し、日本人と台湾人は直接コミュニケーションをとることが出来た。大橋会長によると、日本経済団体連合会の東亜経済人会議の際も、日台間では日本語で会議が出来ていたという。「この2、3年をみると徐々に若い経営者が増え、会議が出来るレベルの日本語を話す人が少なくなった。したがって通訳が入るため、胸襟を開いて話すことは難しくなってきている」と、言語の違いの問題を危惧する。その上で、「現在までに培ってきた日台友好関係を若者たちに受け継いでいかなければならない。まず、日本の若者にはもっと台湾に行って頂いて、台湾のことを理解してほしい。グルメや観光だけでなく、本当の意味での相互理解を深めてもらいたい。その環境を作っていくのが私たちの仕事だ」と述べ、若者らの交流促進への希望を語った。

 

インタビューの中で、日台の関係を「相思相愛」と表す場面もあり、大橋会長にとって台湾は切ってもきれない存在だということが伝わってきた。また、「世界情勢が現在のように緊迫した状況であればあるほど、これほど連帯感が強い日台の関係は例のない世界に誇るべきものだ」と述べ、日本と台湾の絆を強調していた。

 

 

!大橋会長オススメの台湾観光スポット!

鵝鑾鼻岬の灯台(提供:台湾観光局)
鵝鑾鼻岬の灯台(提供:台湾観光局)

~鵝鑾鼻岬~

台湾最南端に位置する鵝鑾鼻(ガランピ)岬は、屏鵝公路40km地点にあって、珊瑚礁石灰岩の地形だ。公園は灯台周辺の海岸沿いに展開しており、遊歩道は大海原を望む散策に最適。鵝鑾鼻のシンボルはなんといっても真っ白な灯台。「東亜の光」と称される台湾でもっとも重要な灯台で、保存史跡に指定されている。寒いところが苦手だという大橋会長だが、正月に奥さんと2人で訪れたという。大橋会長は「プライベートでも台湾に行くということはそれほど台湾が好きだということです。ハワイより台湾です!」と笑顔で話していた。

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