台湾における「LGBT」の現状〜同性婚は果たして認められるのか〜

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台湾伴侶権益推動連盟と日本のLGBT議員連盟が記者会見

「LGBT」は現在世界中で注目されている同性愛及び性同一性障害など性的少数者を限定的に指す略称である。近年では、性別にとらわれないあり方が見直され、諸国において同性間の結婚や同様の権利を認める動きが活発化している。
台湾は、LGBTの権利擁護においてアジアのなかで最も進んでいる国と言われている。それは2017年5月24日、台湾の司法最高機関である司法院大法官会議が「同性同士での結婚を認めない民法は憲法に反する」という判断を下した事に起因すると見られるからだ。この施行以降司法院大法官会議は、2年以内に現在の民法を改正するか新法を制定するよう立法院に求めている。

同性婚の是非を問う国民投票事項が公布

アジア初の同性婚認可に向けて大きな一歩を踏み出した歴史的瞬間となった日から約1年。台湾政府は一向に具体的な動きを見せていない。それどころか反対派団体による反発運動が激しさを増し、台湾政府も擁護する姿勢を見せている。
台湾政府は今年4月18日、反対派団体によって提出された「民法の婚姻規定が一男一女の結合に限定されるべきである事に同意するか」など同性婚の是非を問う3つの国民投票事項を公布した。この交付日より起算して今後6ヶ月以内に有権者の1.5%の署名が集まれば、国民投票の実施が確定となる。実施された場合、反対派の勢力などにより同性婚許可への道が閉ざされてしまう公算が強まるものとみられる。
同性婚合法化の運命が左右されるなか、この台湾政府の動きを阻止しようと、LGBT人権の擁護団体「台湾伴侶権益推動連盟」が立ち上がった。同団体は、この国民投票実施に反対する署名活動や行政訴訟を起こし、国民投票自体を阻止する旨を主張している。なお、同団体の許秀雯理事長は、同性婚を認めない民法は憲法に反するとの判断が下された際の裁判で主任弁護士を務めるなど、婚姻平等実現運動の中心的人物として知られる。

日本のLGBT議員連盟と合同記者会見
この状況下、同団体のメンバーら6人はこのほど来日し5月2日、日本のLGBT議員連盟と合同記者会見を開催し、台湾政府に対して国民投票の不実施を求めた。同団体の邱亮士監事は、国民投票について「明らかに違憲。憲法秩序を防御している」と主張。また、台湾が完全な平等を達成する事は日本にも多大な影響を与えるとの見解も示した。
なお、記者会見のなかでは、同連盟を発足させたLGBTである5人の地方議員と意見交換など相互交流も行われた。トランスジェンダーとして世界初の議員となった埼玉県入間市の細田智也市議会議員は、台湾の現状に「正直驚いている。日本で応援していく」と述べたほか、5人の議員全員が同団体を支持していく姿勢を示した。
一方、許理事長は記者会見後、「今回の交流で、日本の議員も台湾の状況に感心を持ってくれている事に感動した」とし、さらに、台湾では権利擁護において進んでいるが、日本では自身がLGBTである事をカミングアウトしている議員が多々いる現況及び台湾には未だ誰もカミングアウトしていない状況に触れ、「両国違う状況のなかでそれぞれの発展がある。今後は互いに見習い合っていくべきだ」と話した。