JAが台湾の農会と農業協定 〜日本米、海外へ船出〜

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桃園県農会游象紀理事長(右2)、JA越前たけふ冨田隆組合長(右3)
桃園県農会游象紀理事長(右2)、JA越前たけふ冨田隆組合長(右3)

台湾でその第一歩
 JA越前たけふ(冨田隆組合長)は、台湾の桃園県農会(農協、游象紀理事長)と農産物の輸出入を強化する協定を締結し、このほど調印した。越前たけふから台湾向けに2012年産の米20トンを輸出。そして台湾からは桃園県特産のマンゴーやパイナップル、バナナの輸入などを計画している。両者は今後、これらの実績を踏まえて段階的に販路開拓や技術提携などで関係を強めていく見通しだ。
 
 調印に先駆けて越前たけふは、今年3月に桃園県の現地卸業者と栽培契約を結び、減反(生産調整)した田んぼで作付け可能な「輸出用新規需要米」の栽培を始めている。JAが海外の農業団体と協定を結ぶのは珍しく、台湾でも初めての試み。「日本のTPP交渉参加を見越し、管内農家を守るため」(冨田組合長)との考えから締結したものと見られる。さらに、転作作物を麦から国際市場で価格優位性を持つ輸出米へ切り換えて海外へ販路開拓していく事も視野に入れている。
 
 調印により、桃園県農会は台湾の富裕層や日本料理レストラン、日系企業への販路開拓にも期待している。このほか、桃園県農会産の特産果樹などを日本の越前たけふの農協スーパー等で流通促進していく見通し。
 
 一方、6月末に開催された国際食品見本市(台北ワールド・トレード・センター)で越前たけふは特別栽培の「しきぶ米」を出品。地域JAとして初の試みで、海外展開を見据えたPRを実施していた。台湾は2年前に中国と自由貿易協定(FTA)に当たる「経済協力枠組み協定(ECFA)」を締結しており、その制度を見越し、台湾経由で中国に販路を広げる可能性も模索している。