台湾政府の防疫対策で高評価~日本の政治指導に難局か

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台湾政府の防疫対策で高評価(写真提供:中央社)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態の防疫対策で、台湾政府はいち早くクルーズ船の寄港と中国人の入国を禁止するなど封鎖戦略を取った。アジア主要国の政治的指導に大きな影響を及ぼしている現在、台湾の蔡英文総統の支持率が急騰しているのに対し、大型クルーズ船内の集団感染や全国規模で感染が拡散している日本の安倍晋三首相の支持率が急落している事となっている。
 台湾では2月24日現在で30人が感染し、そのうち1人が死亡。日本では同日までに国内で146人クルーズ船内は691人の合計851人に上っている。

 過去、2002年から2003年にかけて発生した「SARS」での経験則も踏まえ、「新型コロナウイルス」の対応に台湾政府の動きは機敏だ。台湾政府は中国人観光客の入境を2月6日より「全面的に禁止」した。中国の直行便の運航を大幅に制限するとともに、中国と結ぶ客船の運航も全面的に停止、クルーズ船停泊も原則拒否の立場をとった。これにより、過去2週間以内に中国へ渡航した外国人も入境できない事となった。こうした施策が台湾国内への感染の最大の抑止力となったのは言うまでもない。最小限に止まっていると言ってもいい。

 さらに、台湾国内でも手のアルコール消毒が推奨され、場所により体温検査も頻繁に行われている。テレビでも医師が手の洗い方を教えるCMが放映されるなど、対策の喧伝は至る所にまで波及する。不特定多数が介在するイベントもいち早く中止勧告に踏み切っている。

 また、台湾政府はマスクの輸出禁止措置をとり、現在、国内で生産されるマスクは全て政府が買い取り、マスクの枚数を制限して、転売できないようにしており、転売には厳しい罰則を設けている。2月末までに1日1000万枚のマスクが生産できる体制も構築されている。

 この経験則を生かした台湾政府の対策の早さ、そしてテレビ媒体を活用した国民への喧伝など、台湾政府の本気度は他国の規範とも言える。しかも、台湾国民の一人一人が自己意識の元に、SARSの教訓を生かして自衛措置をとっている。
 台湾の世論調査機関「台湾民意基金会」が2月24日に発表した調査結果によると、蔡総統の支持率は68.5%で、先の総統再選後の調査時より11.8ポイント上昇。総統に初当選した2016年5月の69.9%に続き、2番目に高い支持率だ。蔡政権が行っている防疫対策について、75.3%が80点以上の高評価を下している。1月22日の「新型コロナウイルスの発祥地中国武漢からの旅行者入国の禁止措置」その後2月6日からの「中国人入国の全面禁止」など勇断とも言える素早い政治的な措置は、功奏していることは言うまでもなく、各国からの「政治指導の規範」と見られる。
 さらに、「香港とマカオの住民への入国ビザ発給も中断」した。すでにビザの発給を受けていて入国した場合は14日間隔離措置した。また、中国本土はもとより、香港・マカオなど中華圏国家を訪問した外国人の入国までをも禁止した。
加えて、韓国と日本で新型コロナウイルスの拡散が続く現況下では、2月23日に両国に対する旅行警報を3段階のレベル2(警戒地域)に引き上げた。翌24日には韓国を最高段階のレベル3(警告地域)に引き上げ、「不要不急の旅行の自制勧告」をした。同25日より韓国から入国するすべての旅行者を14日間隔離する方針も決めた。
 この施策に対し日本は正反対だ。2月25日、新聞社などの合同世論調査(22~23日に実施)の結果によると、安倍内閣の支持率は先月の調査より8.4ポイント減の36.2%となった。「支持しない」という回答は前月比7.8ポイント増の46.7%だ。また、今回の調査で回答者は新型コロナウイルスについて「不安を感じている」という回答が85%(「大いに感じる」「ある程度感じる」の合算)に達した。また、現在、湖北省と浙江省にのみ適用している外国人の入国禁止を一時的に中国全土に拡大することについて67.7%が賛成意見で反対は25.1%だった。安倍政権の「桜を見る会」の不透明性の是正より新型コロナ対策が喫緊の課題とする意見は89%。与党支持層ではすでに90%超えた。是非とも日本国民の生活を守るべき具体的な施策・対策・指導を念じてやまない。