私は今まで華人の顔を書き続けてきた、私が今まで描いてきたさまざまな顔の「目」に注目してほしい。絵が訴えている事をお分かり頂けると思う。オープニングパーティー直前のインタビューで張耀煌氏はこう語った。まさに、「目は口ほどにものを言う」という諺通りの作品が会場に埋め尽くされていた。
おもに顔をモチーフにした水墨画で知られている台湾の芸術家、張耀煌氏の日本初の個展「百面相」が公益法人財団日本美術協会の主催で6月20日より一週間、東京・上野の森美術館で開催されており、連日多くの見る人の心に訴えかけた。開催初日の6月20日午後、オープニングパーティーが行われ、関係者、報道陣など約40名が詰め掛けた。
オープニングパーティーでは、先ず張耀煌氏の挨拶から始まった。張氏は念願だった日本での個展を開けて本当に嬉しいと、素直に喜びを語った。今まで中国の彫刻や寺院を見て描写してきた。日本には、中国にないような寺院などが沢山あり、日本だからこそ探せる文化的なものがまだまだあると思う。今後は、日本の文化、風景、桜、そして人間の仕事の時の表情をモチーフにして描いていきたいと語った。また、平日は仕事に没頭しているとする一方で、日曜日には絵を描かないと落ち着かない、という企業家であり芸術家である一面を話していた。
続いて今回の個展開催で指導的立場として尽力した駐日台北経済文化代表処を代表し、羅坤燦副代表によるお祝いのスピーチが日本語と中国語で行われた。羅副代表は、今回の張氏の素晴らしい個展によって日本と台湾の交流が更に深まったと述べた。また、人間の喜び、怒り、悲しみ等の表情が直に現れている張氏の絵を見て大変感動したとした。さらに、張氏が様々な事業を営みながらも素晴らしい絵も描ける事に驚き、それは台湾の生活、芸術レベルの高まりを表しているとした。最後に代表処では2年半前より、文化センターを処内に設置し、様々な展示会を開催しており、日台の文化交流活動を支援していると話した。
最後に今回の個展を企画した日本国内外の美術品の展示会事業を行っているソーラー・ミラー社の吉田マリ子社長の挨拶があり、その後乾杯となった。また今回の個展は、台北当代芸術館(MOCA Taipei)が協賛のほか、サンスター、美徳文化芸術基金会が後援した。
張耀煌氏は1948年に台湾・南投県水里郷に生まれ、1977年国立芸術学院美工科学士取得、1995年米・ウエスタン国際大学にてMBA取得、2009年国立台北芸術大学修士。台湾、中国、韓国・ヨーロッパでは数々の個展を開き成功を収めてきたが、日本での個展は今回が初めて。現在、5つの会社を営む事業家であり芸術にも情熱を注いでいる。台北市在住。