【東京発・台湾新聞】国建会日本聯誼会(黄野銀介会長)は10月11日、台湾の水利事業に多大な功績を残した八田與一の長孫・八田修一氏と木更津工業高等専門学校の武長玄次郎教授を講師に招いて特別講演会及び懇親交流会を開催した。
特別講演会は、家族に受け継がれる記憶、歴史研究、土木技術などの視点から、八田與一が台湾に残した功績と長年にわたり育まれてきた日台の深い絆などが披露された。会場とオンラインを併用したハイブリッド形式で実施された。会場には25人以上が集まり、オンライン参加者を含め、研究者や専門家、会員ら約40人が参加した。
黄野会長は開会の挨拶で「八田與一のご子孫である八田修一氏と、長年にわたり八田與一の功績を研究し、関連書籍の執筆にも携わってきた武長教授をお迎えできたことは大変光栄です。国建会は毎年学術講演会を継続して開催しており、今回は日本の3連休中にもかかわらず、多くの関係者にご参加いただいたことに深く感謝します。今後も在日台湾人研究者や各分野の専門家が交流する場としての役割を果たしていきたい」と意欲を示した。
特別講演会には、台湾留日大学教師会の元会長の詹秀娟氏をはじめ、吉永耕介氏、徳山喜政氏、台科会事務局長の林郁智氏、国建会事務局長の石井華那氏らが参加。元台科会理事長の徳山氏及び国建会副会長の林佩芬氏はオンラインで参加した。
台北駐日経済文化代表処教育組の黄聖明組長は、国建会を通じて祝辞を寄せ、黄野銀介会長をはじめ、開催に尽力された関係者の皆様に謝意を表した。「八田與一が台湾の農業発展に果たした功績は極めて大きく、その存在は日台友好の重要な象徴です。今回の講演会を契機に、日台間の教育・学術交流が一層深まり、双方のかけがえのない友情が次世代へと受け継がれることに期待します」とした。
八田修一氏は講演で「毎年5月8日に行われる祖父・八田與一の慰霊祭に今後も参列し、祖父と台湾との深い縁を大切に受け継ぎたい。台湾にある世界遺産候補地の魅力を積極的に発信し、現地への訪問や紹介活動を通じて、より多くの日本人に台湾の貴重な自然・文化遺産を知ってもらいたい」と話し、国建会の会員に向け「取り組みへの理解と協力をお願いします」と呼びかけた。

八田氏は、これまでの日台交流の中で特に印象深かった出来事として、2011年の東日本大震災における台湾からの支援を挙げた。「震災後、多くの台湾の人々が日本の被災地のために義援金を寄せてくださったことに深く感動した。台湾の人々が日本を支援できたことを心から喜んでいると知った際、思わず涙があふれた」と振り返り、台湾の人々の温かい思いやりと支援に対し「改めて心より感謝の意を表します」と話した。
武長玄次郎教授は、歴史研究と土木工学の観点から、八田與一の思想や技術的功績について詳しく解説した。「八田與一は日本人としての強い自覚と誇りを持つ一方で、台湾の土地と人々のために尽くそうとする揺るぎない信念を抱いていた。自らのアイデンティティーを大切にし、他者を尊重しながら社会に奉仕する精神は、現代を生きる私たちにとっても学ぶべき重要な姿勢である」と強調した。また、烏山頭ダムの建設に採用された「セミ・ハイドロリックフィル工法(半水力沖淤式工法)」についても紹介。「この工法を通じて、当時の設計・施工技術が、地震の多い台湾の自然環境を十分に考慮したものだった」と説明。烏山頭ダムは、その後も幾度となく地震や台風、豪雨などの自然災害に見舞われながら、現在に至るまで重要な水利施設としての役割を果たし続けている。「こうした事実が当時の技術者たちの先見性と高度な技術力を物語っている」と力説した。

さらに、日本と台湾はいずれも地震や台風などの自然災害に直面する地域であることから「今後は防災技術、地域行政、学術研究、土木工学教育などの分野でより一層の協力と交流を進めていくことが重要である」との提言も行った。
講演終了後には、参加者の間で歴史・文化、水利事業、防災対策などをめぐり、活発な意見交換が行われた。

その後、懇親交流会も開催され、終始和やかな雰囲気の中で、参加者同士が親睦を深めていた。 黄野会長は「今後も国建会が在日台湾人研究者や各分野の専門家をつなぐ交流の場として、その役割を一層充実させていきたい。学術研究と民間交流を通じて日台の友好協力関係をさらに発展させるとともに、八田與一が体現した献身の精神と国境を越えた友情を、次世代へと継承していくことへ期待します」と、会を締めくくった。
2026.10.16
























































































