「尖閣諸島の領有権は日本にある」会場一時騒然に
李登輝元総統(89)が6月5日夜、桃園県内の中央大学で講演。「新時代の台湾人と私の脱古改新」と題した特別講演で、李元総統が台湾の大学に招かれて演説をしたのは、10年振り。
李氏が会場に姿を現すと、大学生を中心とした満員の聴衆から大きな拍手が沸き起こり、李氏自らも「若返ったような気分になった」と喜びを表した。
李氏の事務所や台湾紙・中国時報などによると、李氏は自らが推進した総統の直接選挙実現や台湾における民主化への歩みを約1時間半にわたって熱く語った。また、両岸関係については現状維持の重要性を強調した。
講演後の質疑応答の場では、中国大陸からの留学生から尖閣諸島の領有権に関する質問などが飛び出し、この学生とは20分間もやりとりが続いた。李氏が「領有権は日本にある。中国固有の領土というなら証拠提出が必要」、「台湾は中国のものではない」の発言に、会場が一時騒然となったが、拍手も起きた。さらに「それは個人的見解か」とする学生に、李氏の秘書が「見解ではなくて歴史」と補足する場面も。李氏はさらに両岸に未来をも問う学生に「台湾は中国のものではなく、未来の民主化のモデル」とし、この学生には「民主化と自由を学んでほしい」と、台湾の歴史に関する自らの著書を贈呈した。
李氏は風邪で5月24日から入院していたが、今回の講演会のために当初予定より一日早く6月5日に退院していた。
今回の講演での「尖閣は日本の領土」発言に中国内では早速非難の声が上がっている。