シャープは、大型液晶パネルの生産拠点の堺工場(大阪府堺市)の運営会社社長に、資本業務提携先である台湾の鴻海精密工業(Foxconn)の出身者を起用する方針を明らかにした。日本の大手電機メーカーが国内主力工場に外国人を迎えるのは異例。
同社は堺工場の運営会社「シャープディスプレイプロダクト」(SDP)を7月にも鴻海との共同運営にする。鴻海もシャープ同様の37%を出資、両社が筆頭株主となる。社長は鴻海から迎え入れ、社名も「シャープ」の名称を外して「堺ディスプレイプロダクト」(案)とする予定。これは世界中に強力な販売・取引ネットワークを持つ鴻海出身者をトップに据え、原料、部品調達コスト削減などを活用したい考えから。また、シャープの名称を外すことで、シャープと競合する日米中などの大手メーカーからの受注獲得を狙い巨額な赤字を計上した液晶事業の再建を急ぐ。シャープの奥田隆司社長は6月8日に都内で開いた戦略説明会で、「シャープの技術力、ブランド力と鴻海の生産力で新たな垂直統合モデルをつくる」とし、中国向けスマートフォンでも鴻海と協業して2013年から新製品を市場投入する考えを示唆した。ただし、シャープの技術が国外流出する懸念は拭えない。
また鴻海は、堺工場は堺工場で生産したパネルの引き取り開始を当初の今年10月~12月期から7月~9月期に前倒しする予定。結果、5割以下だった堺工場の稼働率は7~9月期には9割を超える見込み。
シャープと鴻海の業務提携は今後もますます加速しそうだ。