香港の民間活動家が8月15日に尖閣諸島に上陸したことを受け、中津川博郷衆議院議員(無所属)をはじめ9人の国会議員は19日、台湾外交部(外務省に相当)楊進添部長と意見交換のため訪台した。
そのなかで楊外交部長は「尖閣諸島は中華民国固有の領土であるということに変わりはない。日本の立場も分かっているが、短期間では互いに共感は得られないと思うので、論争する事は棚上げにして平和的に解決したい」と述べた。また、「今回の香港活動家の尖閣諸島上陸は自発的行為であり、我々は事前に知らなかった。我々としては皆が冷静に対応することを望んでいる」とした。続いて「この地域の安定を維持するために中津川議員の力を借りたい」とし、尖閣諸島が中華民国国有の領土であると主張しつつも、同議員に緊張高まりを鎮めるための協力を要請した。
これに対し中津川議員は「尖閣諸島は日本領土」であるという日本の立場を改めて示すと同時に、「日・台両国は同様に自由、民主、法治国家であり、共同の価値観を持っている。両国は運命共同体である。馬英九総統が今回のことで表明した「東シナ海平和提案」(東海和平倡議)に同意し、東シナ海の平和と安定を維持する馬総統の考えに賛成だ」とした。また会談後、中津川議員は親日国家台湾は、日本とは安全保障上、強い絆で結ばれており、日本の良きパートナーとして更に中国に対峙しなければいけないという考えを示した。今回の訪台で一行は、台南市も訪れ、中津川議員と旧知の仲である頼清徳台南市長主催の食事会に参加したほか、亜東協会(交流協会に相当)廖了以会長主催の食事会にも参加して意見交換をした。中津川議員をはじめとする一行は経済、教育、文化交流を一層前進させ、日台の絆を更に深めていくことを約束した。
※「東シナ海平和提案」(東海和平倡議)…馬英九総統が8月5日に1952年に締結された日華平和条約(1952年の日中平和条約締結により失効)60周年を記念して提示した東シナ地域の安定を重視し、論争は避けて、共同資源開発などの平和的解決を促す提案。