尖閣問題で関係悪化の回避を言及~馬英九総統がNHKのインタビューで~

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馬英九総統は8月20日、台湾総統府でNHKのインタビューに応じ、尖閣諸島(台湾名;釣魚台列島)を巡る問題で「関係する全ての国と地域が島への上陸などの行動を自制する事が重要」という考えを示した。さらに「尖閣諸島を巡る主張の違いで日本との関係が悪化することは避けたい」とする立場であることを改めて強調した。インタビューで馬総統は尖閣諸島について「台湾に属する島」であると述べ、改めて領有権を主張をした。一方で、同じく尖閣諸島の領有権を主張する中国と連携して日本に対抗する意図はないことも明らかにし、尖閣諸島を巡る主張の違いによって日本との関係が悪化することは避けたいという立場である、と答えた。そのうえで、8
月15日に尖閣諸島に上陸して逮捕、強制送還された香港の民間活動家らが10月頃に再度上陸する計画があることについては、日本の地方議員らが8月19日に島に上陸したことにも触れながら、「大切なことはいずれか一方だけに自制を求めるのではなく、皆が平和的に争いを解決する方法を探ることだ」とし、関係するすべての国と地域が島への上陸などの行動を自制することが望ましいという考えを示した。
 馬総統は8月5日、争いを平和的に解決する方策として「東シナ海平和提案」(台湾名;東海和平倡議)という構想を打ち出している。これら関係する国や地域による資源の共同開発を呼び掛けたのに続き、今回のNHKのインタビューでは「主権を分割することはできないが、資源は分けあうことができる」としている。また、尖閣諸島周辺の海域は台湾の漁業者が100年以上前からの主要な漁場であり、日台の漁業交渉が停滞している現状に対し「これが解決しなければ多くの抗議行動が起きる。進展があれば衝突のおそれは少なくなる」と述べ、漁業協定の締結に向け日本側への協力を求めた。 
 このほか馬総統は「現在、日本と台湾は過去40年間で最も良い関係になっている」とし、「多くの台湾人が日本との関係がさらに良くなることを望んでいることを私も実感している」と述べ、今後日本とのFTA(自由貿易協定)の締結や経済連携、文化交流をさらに深めたいという意欲も示した。このほか「わが国はTPP(環太平洋提携協定)に加盟する事も目標にしている。そのため、私は総統に就任後、すぐに中国、日本、米国といった主要三大貿易国と経済・貿易協力関連の協議調印を推進した。さらにシンガポールとニュージーランドに対してもわが国との経済協力協議調印への意向を示した。韓国、日本、シンガポールなどの国々に比べ、わが国の経済協力協議調印への時期は約10年遅れている。そのため、シンガポール、ニュージーランド、さらには日本、韓国、EU(欧州連合)とも経済・貿易協力協議調印の方法を通して一歩ずつ、TPP加盟の準備を進めていきたい」と話した。