リュウ・シャオチャ指揮「フィルハーモニア台湾」が記者会見&シンポジウム

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シンポジウムの様子

フィルハーモニア台湾(音楽監督:リュウ・シャオチャ)が11月1日、ホテルオークラ東京で来日記者会見&シンポジウムを開いた。主催は台北駐日経済文化代表処。なお、同楽団は11月9日、東京オペラシティコンサートホールで1日だけの日本公演を行う予定。

12時(正午)開場、12時30分より、リュウ・シャオチャ、ホアン・ピードゥアンさん(中正国立文化中心・芸術監督)、ジョイス・チュウさん(フィルハーモニア台湾・事務局長)がコンサートに関する記者会見を行った。

リュウ・シャオチャ氏
ホアン・ピードゥアンさん
ジョイス・チュウさん

フィルハーモニア台湾は、台湾内では「国家交響楽団National Symphony Orchestra Taiwan(略称=NSO」、海外では「フィルハーモニア台湾」という名称を用いてきたが、今年から海外演奏は「台湾フィルハーモニック」に改称した。ただ、今回の東京公演は便宜上、旧称(フィルハーモニア台湾)を用いている。

今回の公演について3人は「素晴らしい機会だ。とても嬉しい。東京はほかとは異なり、世界のなかでもっとも重要な地だと認識しているし、特別に意義ある公演だと考えている」また「フィルハーモニア台湾は、96人の楽団。女性が54人、男性が42人と女性が多く、外国人演奏家も6人しかいないユニークな楽団。誇りに思っている」と述べた。

12時50分からのシンポジウムでは、司会を音楽評論家の吉村渓氏が務めた。登壇者として、大野順二氏(公益財団法人東京交響楽団専務理事・楽団長)と梶本眞秀氏(KAJIMOTO代表取締役社長)が加わった。主な発言は以下の通り。

「(音楽監督としてアグレッシブなプログラミングについて)鍵は人気のないものを人気がないものとして扱わないということ。ほかのものと組み合わせる(ことで魅力を引き出す)。例えば、モーツアルトとシューベルトを組み合わせる。音楽的には同じラインの延長にある。あるいはワーグナーとブラームスを組むとか、同じ作曲家でも人気ある曲と人気のない曲を組み合わせる。前半と後半にコントラストのあるものを選ぶ。要は自分が信じているいい音楽を演奏するということだ」(リュウ・シャオチャ)

「台湾はこの25年間で楽団の数が10から42に増えた。民主的な社会が実現し、経済も成長し、文化促進、環境改善により台湾の文化を世界に発信していく時代がきた。ぜひ台湾の音楽に触れていただきたい」(ホアン・ピードゥアンさん)

「フィルハーモニア台湾は公益法人として、かつては70%~80%(運営費)の支援があったが、今年から60%に下がった。来年はもっと下がるかも知れ ない。こうした外的要因から(自分たちを)守るために闘っていかなくてはいけない(こういうことが今日の楽団の躍進の背景にある)」(ジョイス・チュウさ ん)

「今回のフィルハーモニア台湾のコンサートがすぐにビジネスにつながるかどうかはわからないが、好奇心をもって聴きにきて欲しい。僕には台湾のオーケストラが日本で演奏会をやることについて、可能性や夢があると思う」(梶本眞秀氏)

「フィルハーモニア台湾が政府から60%の援助を受けているというのは大変うらやましい話」(大野順二氏)

このほか、シンポジウムのなかで、フィルハーモニア台湾が観客を増やしたり、若い世代にアピールしたり、高齢者のファン獲得のために様々な営業努力をしている姿が浮き彫りとなった。

本公演の成功と日本での定期公演を望む声は少なくないようだ。