台湾交通部観光局が選出した「台湾八景」は、台北101、台北故宮、日月潭、阿里山、玉山、高雄愛河、墾丁、太魯閣渓谷の八箇所であるが、中でも阿里山一帯の祝山は「最高の日の出が見られる」として、人気が高い。
早朝4時半。森林鉄道阿里山駅に人が集まってくる。駅周辺にはホテルが数軒あり、祝山駅に向けて出発する列車に乗るため、駅にやってくるのだ。切符売り場に並ぶ人達の目的……それは祝山まで行き日の出を見ること。阿里山から祝山まで阿里山森林鉄道が日の出時刻に合わせて運行している。本社記者が取材した日の出発時刻は朝4時50分だった。
列車は30分前後で祝山駅へ到着。御来光を拝めるスポットまで登って行く。祝山の海抜は2451m、他の山々に浮かぶ雲海を見下ろすことができる。台湾の絶景の一つに数えられる阿里山の風景、訪れた人は息を飲んで日の出を待つ。取材日は曇り空であったが、雲の上からわずかに太陽が顔を出し、壮快なコントラストを作る。
祝山駅のそばでは観光客をターゲットに出店が並び、活気で溢れている。冷え込む客の身体を暖めるのが金針(ワスレグサ)と椎茸のスープだ。金針のつぼみは鮮やかな黄色、台湾では炒め物の具材として使われ、シャキシャキとした食感が持ち味だ。椎茸からも深いダシが出ている。
美しい景色に酔いしれた後、午前6時40分、祝山駅から列車で下りる。明るくなった阿里山一帯は緑鮮やか。台湾人も多いが、最近は日本人や中国人観光客の姿も増えてきた。海あり山あり、観光資源が豊富な台湾はますます世界から注目されそうだ。