新竹市は2012年12月22日から2013年3月10日にかけて、「新竹市国際ガラス芸術節」を開催している。国内外のガラスアーティストの芸術作品を展示し、日常生活にありふれたガラスの違った一面を垣間みることができる。
新竹は日本統治時代から、ガラスの産地として知られている。「国際ガラス芸術展」と「科技ガラス芸術館」のプロデューサー王雪沼さんによれば、これはかつて一帯でガラスの原材料となる石英(シリカ/二酸化ケイ素)が産出されたこと、天然ガスが噴出したことなど、ガラス生産に適していたことに由来すると言う。近年でも、工業特区の成功により、科学技術産業が発展し、精密機械などに使用されるガラス製品とも大きな関わりがある。このため、 新竹公園内には「ガラス工芸博物館」があり、新竹ガラスの歴史を今に伝えている。今回で9回目の開催となる「新竹市国際ガラス芸術祭」は、約2年に一度行なわれており、今年で19年目となる。
会場はガラス工芸博物館のほか、旧新竹気象台、旧新竹ラジオ放送局など、新竹公園内の建物をそれぞれ「国際ガラス芸術展」、「ガラス芸術創意館」、「科技ガラス芸術館」、「児童ガラス体験館」とし、それらのテーマに合った芸術作品を展示している。なかでも「国際ガラス芸術展」では、イタリア、アメリカなど14カ国28人のアーティストによる65作品を展示しており、様々な形や、色彩を持ったガラス芸術作品が観賞可能だ。日本からは宮崎在住のアーティスト黒木国昭氏や、ガラスメーカーのハリオグラスの作品が展示されている。
「科技ガラス芸術館」では、ガラスと科学技術を融合させた作品やゲームを展示し、実際に来場者に触れて、楽しんでもらえる仕掛けがなされており、子供から大人まで、誰でもガラス用途の多様性に親しめる空間が演出されているほか、「ガラス芸術創意館」では、台湾人アーティストによる作品を展示しており、国内の有名なアーティストと、新竹市が主催しているガラス芸術コンテストである「金玻奬」の入賞作品が飾られ、台湾ガラス工芸の技術力を堪能できる。子供を連れて桃園から来たと言う女性は、来場の目的を「子供にガラスの芸術作品を見せたかった。普段の日常生活に存在するガラスが芸術作品にもなり得るとは思っていないと思うから」とし、「実際に驚いていたみたいだ」と、子供が固定概念を覆す発見に出会ったことを語ってくれた。
「ガラス工芸博物館」には吹きガラスのパフォーマンスを観覧できる工房が有り、この日はガラス職人が二人一組になり、40分で電話帳ほどの大きさの花瓶を作ると、集まった観客からは大きな拍手が沸き起こった。台中から家族で遊びに来たと言う女子中学生は「(鉄の管を)くるくるまわしながら形を作っていて面白かった」と興奮した様子で話した。