馬英九総統は1月1日、総統府の大講堂で中華民国102年(2013年)の開国記念日および元旦の祝賀式典を主宰し、「奮起して行動し、未来を変えよう」と題する祝辞を述べた。馬総統は、世界経済に復活の兆しが見えてきたこのときに改革を加速し、行動すべきだとして、以下、課題となる4つの“厳しい試練”を挙げた。
1.世界の産業競争がより一層激化し、中華民国・台湾の委託生産モデルが困難な状況に陥りつつある。
2.地域自由貿易ブロックの形成が加速し、「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)、「北東アジア自由貿易協定」、「環太平洋連携協定」(TPP)などの地域経済統合の列車に乗りこむことができるかどうかが、経済・貿易の陣地を拡大できるかどうかのカギを握る。
3.人材育成と産業ニーズの重大な不均衡。産学間の落差が続けば、中華民国・台湾の発展が重大な影響を受ける。
4.少子化と高齢化がもたらす年金問題。
対して、馬総統は、以下のような考えを明らかにした。
1については、新しい価値の創造を通して、台湾の産業構造の転換を進め、台湾を国際サプライチェーンの重要部品と精密設備の提供者として、グローバル経済・貿易体系の中で取って代わることのできない地位を築き上げる。
2については、保護主義的な思考を打破し、台湾を一歩ずつ自由貿易島へと進めていく。「自由経済モデル地区」を設置すると同時に、平等互恵の条件の下で新興市場を開拓する。
3については、教育を産業技術の研究開発の強固な後ろ盾とすべく、科学技術の研究開発体制を再構築し、産学連携を強化する。この課題に対応するため、行政院国家科学委員会、経済部、教育部は「産学大連盟」および「産学小連盟」などのプランを積極的に検討し、学術と実用の落差を縮小させる。
4については、われわれは同じ船に乗る共済の精神で年金制度を改革していく必要がある。われわれは運命共同体であり、互いに包容力を持ち、許し合い、協力、互助の精神を持ち、強者は弱者を支え、現世代が次の世代を支えていくべきである。
続けて、馬総統は「この重要な1年に、政府の各省庁は、産業構造の転換、地域自由貿易ブロックへの参加、科学技術研究開発の産業需要との結合、年金制度改革の4つの核心的問題に対して、難題を突破する決意と力強さを示さなければなりません」と述べた。
一方、外交については、「両岸の平和はアジア太平洋の平和の基礎の一つとなるものであり、経済発展の促進と投資マインドを高める必要条件」だと語った。また、「米国との長期にわたる友情を大切にしており、われわれは米国との『貿易・投資枠組み協定』(TIFA)の下での協議再開に向けて加速し、両国の経済・貿易関係を拡大、深化させていきます」と加えた。さらに、「中国大陸、日本、韓国と、次々と新しい指導者が生まれ、われわれは今後各方面との協力を望んでおり、緊張情勢を緩和し、東アジアを経済協力の正常な軌道へと戻していきたいと期待しています」と述べた。
馬総統は、最後に「海外からの来台旅行者数は過去最高の700万人を突破したこと」「世界の131カ国・地域がビザ免除または到着ビザの措置を付与したこと」などの成果を挙げ、中華民国・台湾に対し、国際社会が一層友好的、肯定的になったとし、「これらの貴重な成果は、台湾人の実力を低く評価してはならないことを証明するもの」だと自信をのぞかせた。