台湾の旅行業界関係者らが集う懇親会が、1月10日、台北市内の飲食店で開催された。出席したのは、日本へのツアーを企画する旅行代理店の台湾人スタッフらで、互いに協力し日本への旅行客を集めていくための意見を出し合うのが狙いだ。出席した燦星旅遊の謝昇育・営採日本線主任は「台湾人は日本が大好きで優先的に行きたがる傾向にある。日本の円安を受けてその流れは強まっている。『日本であればどこでも行きたい』という客もいるほど、親しみを持っている台湾人観光客もいる。大震災後の放射能漏れを気にして客足は一時減ったが、現在はその影響も少ない」と状況を分析する。
日本では、観光業界を中心に、「いかに日本人旅行客を台湾に呼び込むか」というレクリエーションやシンポジウムが多く開催されている。昨年から今年にかけ台湾を訪れる日本人観光客は急増。震災後の復興支援で寄付された多額の支援金を契機に、台湾への注目が高まったことも背景にある。観光客の増加を受け、各航空会社も日本、台湾間のフライトを増加。中華航空では、福岡〜台北間を1日2便に増やし、鹿児島、宮崎路線も増便させた。旅行業界に訪れた空前の追い風ムード。しかし、ある旅行関係者は「台湾には交通面で解決するべき構造的な問題がある」と指摘する。
構造的な問題とは何か。一つに、桃園と松山、2つの空港の存在が挙げられる。国際空港として主に機能してきたのは、台北から約40キロ離れた位置にある桃園空港だ。しかし、台北市内に位置、捷運の駅もある松山空港と羽田空港を結ぶ便が開通。利便性は高まったが、日本の他都市の空港と松山空港を結ぶ便がなく、東京以外の空港からの利便性は据え置かれたままだ。また桃園空港から台北に公共交通機関で行くにはタクシーかバス、バスと高速鉄道を結ぶ方法しかないため、多少なりとも「中国語の聞き取り」が必要となってくる。空港から市内まで直接行ける鉄道があれば、路線表示と駅名表示で聞き取り能力が無くとも、観光者は辿り着ける。しかし、バスやタクシーでは運転手とのコミュニケーションが必要となり、ハードルが高い。桃園空港と台北を結ぶ鉄道は建設中で、開通が待ち望まれる。
旅行業界関係者の懇親会では、台湾人観光客の傾向についても話され、山富国際旅行社の施維忠・日本線副理は「台湾ではほとんど雪が降らないため、冬に日本に『雪を見に行く』という客も多い。台湾では日本のドラマやグルメ番組が多く放送され、『放送の舞台になった場所に行きたい』と日本を訪れる人もいる。今後も日本の人気は変わらないでしょう」と話した。