交通部観光局は2月23日から毎年恒例となった2013台湾ランタンフェスティバルを新竹県竹北市の台湾高速鉄道新竹駅周辺で開催した。この催しは旧正月以降初めての満月となる元宵節にあわせて行なわれているもので、今年で24回目の開催となる。今年は「アニメマンガ・テクノロジー・カルチャー」をテーマに実施された。初日の23日には100万人以上が訪れ、多くの来場者がランタンが放つ暖かい光を楽しんだ。
元宵節の風物詩「台湾ランタンフェスティバル」
台湾では古くから、元宵節の頃に各地の寺院や廟でランタンを灯す風習があったが、戦後になるとランタンに対する関心が薄れ、この伝統文化は衰退の危機に面していた。観光局では1990年から大型のランタンを展示する台湾ランタンフェスティバルを開催し、元宵節の台湾伝統文化の復興と新たな観光資源の開発に努めており、当初は台北で開催されていたが、2000年からは毎年開催場所を変えながら、多くの人を楽しませている。2007年には米ディスカバリーチャンネルで「世界で優良なイベント」として紹介され、台湾の元宵節に欠かせないイベントになっている。
会場には毎年、干支にちなんだ大きなメインランタンが設置されるが、へび年の今年は高さ20mの「天まで躍り上がるみずち」と題された迫力のあるランタンが設置された。また、新竹は風、ハイテク産業、客家や原住民などの多彩な文化が有名で、それらの特色が反映されたランタンも彩りを添えた。また、可愛らしいキャラクターをかたどったものもあり、世代を超えて楽しめるランタンを観賞できる。メインランタンには20万個のLEDライトが取り付けられており、邱鏡淳新竹県長(知事)は、「台湾がアニメ、カルチャー、テクノロジーの導きによって、勢いをもって飛び出し、光り輝くことを表現した」と語った。
馬英九総統と江宜樺行政院長、邱鏡淳新竹県長らが出席した点灯式で馬総統は米メディアで高評価を受けたことに言及し「我々のランタンフェスティバルは国際舞台に踊り出た」とし、「小さい龍(蛇の別称)が、景気回復と幸福の到来、子孫繁栄をもたらしてくれることを願う」と語った。カウントダウンの後にメインランタンが点灯し、音楽とともに会場周辺のビルの屋上から花火が打ち上げられると、集まった観衆からは大きな歓声が上がった。
特色のあるランタンが観衆を魅了
2013台湾ランタンフェスティバルの会場には、お馴染みのマンガやアニメのキャラクターなどのランタンも展示された。桃園から家族3人で訪れたという女性は「子どもはすごく楽しそうにしてて、全部のランタンの写真を撮ってまわっている」と話したほか、苗栗から来た家族連れの男性も「ここで撮った写真をパソコンに出力して、後で家族で一緒に見るんだ。子どもも喜ぶからね」と一家団欒を過ごす人々が見受けられた。
また客家集落エリアでは、客家の生活をテーマにしたランタンが飾られた。台湾の伝統家屋である「三合院」のランタンの写真を撮っていた男性は「今台湾では古い伝統家屋が失われつつある。小さい子どもたちに(ランタンを通して)三合院を知ってもらえたらいいですね」と感想を話した。原住民をテーマにしたエリアでは政府が認定している14種族のランタンが展示され、台北から友人5人と来たという男性は「台湾にはこんなに多くの原住民がいると言うことを改めて知らされた。タオ族(ヤミ族)のランタンが可愛らしい」と話し、台湾という場所を再認識するきっかけにもなったようだ。
メインランタン周辺にも多くの人がつめかけ、新竹市から来たと言う大学生のグループは「仲良し8人で来た。携帯電話で写真を撮って、フェイスブックに投稿するんだ。みんなで写真を共有できるから」と語った。点灯式のセレモニーも見たという女の子は「凄く綺麗だった。メインランタンも格好良い」と話してくれた。そのほかにも、昨年彰化鹿港で開催された台湾ランタンフェスティバル会場でアルバイトしていたという女性は「(メインランタンは)去年のよりも大きくて綺麗。会場も広くて歩きやすい」と話してくれた。
また、今回の会場となった台湾高鉄新竹駅周辺は、一般車両の進入が制限され、台湾鉄道やシャトルバスの利用が呼びかけられた。台北から一家6人で遊びに来たという男性は「午後3時ごろに自動車で来たが、会場周辺の駐車場に駐車して、歩いてきた。そんなに混雑していなかった」と話し、台北在住という日本人男性も、「シャトルバスの場所が分かりにくかったが、バスに乗ってしまえば後は楽だった」と、毎年懸念される交通アクセスでの混乱も少なかったようだ。
このほか、会場には食べ物の屋台も出店し、新竹名物である肉団子やビーフンなどに舌鼓を打つことができる。2013年台湾ランタンフェスティバルでは台湾の、そして新竹の伝統文化や産業、人々の暮らしが間近に感じられるフェスティバルになっており、今年は3月10日まで開催される。