上場会社大魯閣繊維株式会社の子会社大魯閣株式会社(台北)は、台湾・高雄市で計画中のショッピングモールとアミューズメントエリアを併設した複合商業施設、「TAROKO MALL 草衙道(CAOYADAO)」の事業化に向け、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)を運営する株式会社モビリティランドと業務提携交渉を行っていたが、基本合意に達したとして、3月2日、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)内において台湾メディアなど国内外のメディア関係者を前に記者会見を行った。
草衙道(CAOYADAO)は、総面積8万6000平方メートルの敷地に計画され、屋外型ショッピングエリア、3階建て商業棟(屋内ショッピングエリア)、SUZUKA CIRCUIT PARK、屋内アミューズメント(温浴施設・シネマコンプレックス・スポーツジム)など、4つのエリアから構成される。
ポイントはコース全長約580mのSUZUKA CIRCUIT PARK。鈴鹿サーキット国際レーシングコースのレイアウトをイメージしたレンタルカートコースやモビリティランドのオリジナル遊戯機種を導入する。
立地条件もいい。高雄駅からMRTで18分の「草衙CAOYA駅」に近く、高速道路まで250mのアクセス。高雄国際空港からMRTで1駅3分だ。
「鈴鹿サーキット 2013年および今後の活動内容ならびに新たな海外事業への参画について」と題された記者会見は、ピエール北川の司会のもと、午前11時より始まった。
冒頭、挨拶に立った株式会社モビリティランドの曽田浩社長は、昨年9月に50周年を迎えたことに言及し、関係者やファンに感謝の言葉を述べるとともに、新たな50周年に向け、海外事業に参画すること、また、交渉が続いていた鈴鹿サーキットでのF1日本グランプリ開催について、2014年~2018年まで5年間の開催権を獲得できたことを報告した。
末松則子鈴鹿市長は、鈴鹿サーキットの開場50周年やF1日本グランプリの開催継続を祝うとともに、これまで鈴鹿市の知名度やブランドイメージへの貢献に感謝の言葉を述べた。また、株式会社モビリティランド取締役鈴鹿サーキット荒木正和総支配人は、2013年及び今後の鈴鹿サーキットの活動内容の詳細を説明した。
この後、今回の海外事業を担当してきた株式会社モビリティランドの山下晋常務取締役が登壇し、「この度、高雄市におきまして2015年10月開業に向け計画が進んでいます大型商業複合施設の開発プロジェクトに弊社が参画させていただくことになりました。みなさんにご愛顧いただき、50年かけて蓄えて参りました鈴鹿サーキットのノウハウを提供し、海を越えた台湾で多くの新たなお客様に楽しんでいただきたいと考えております」と報告した。
大魯閣株式会社側の責任者である謝國棟副会長は、日本留学中にモータースポーツ文化に触れて虜になったと言われる。台湾に帰国してからも鈴鹿サーキットのSMCC会員としてフォーミラーカーを運転するほどのモータースポーツファンである。山下常務取締役の紹介を受けて、登壇した謝國棟副会長は、「鈴鹿サーキットの“挑戦する”というコンセプトに感銘を受けて、私が新たに計画している大型ショッピングモールのアミューズメントゾーンに鈴鹿サーキットパークを併設することを、モビリティランドと基本合意致しました。私は、このプロジェクトを通して私の故郷台湾、そして大好きな日本との交流がますます盛んになり、台湾にも健全なモータースポーツ文化を広めることができたら光栄です」と喜んだ。
陳菊高雄市長は、「とくにご注目いただきたいのは、カートコースのあるミニ鈴鹿サーキットとファミリー向けの車のテーマパークを大型商業施設と融合した点。台湾においても、世界においても初めての施設となります」と力を込めた。年間140万人にのぼる日本からの観光客。しかし、高雄には30万人。「この大魯閣・高雄プロジェクトの実現で日本からの観光客も期待できます」と述べた。
台湾最大の祭であるランタンフェスティバルに参加するなど、台湾との交流を活発に推進している鈴木英敬知事は、鈴鹿サーキット50周年、台湾高雄プロジェクトの基本合意、そしてF1グランプリの新たな5年間の開催決定を、“名誉総裁”としても心より嬉しく思います、と述べるとともに、「今年5月に開催予定の『2013年日台観光サミットin三重』は、日台の観光事業者、旅行会社、航空会社が一同に会するもので、200人を超える関係者が集います。これまでで最大級のイベントになる」と来賓最後の挨拶を力強く締めくくった。