2011年に台湾で公開されるやたちまち話題となり、第48回台湾金馬奨グランプリほか、各賞を総なめにした映画「セディック・バレ」がいよいよ日本に上陸する。
同映画は、日本統治時代の台湾で実際に起きた原住民族の抗日武装蜂起「霧社事件」をテーマとしている。
1930年10月27日、台湾中部の山岳地帯、台中州能高郡霧社の原住民族のひとつ、セディック族の6集落は、警察官の収奪や横暴を不満として住民を挙げて蜂起した。リーダーはマヘボ社(集落)の頭目、モーナ・ルダオだった。蜂起で女子供を問わず、日本人134人が殺害された。この後、日本の軍隊・警察官と蜂起側とのし烈な戦闘が続き、鎮圧されたのは50日以上も後だった。蜂起側は、6社の住民約1000人が死亡、生存者550人が投降した。
この映画で、主人公モーナ・ルダオ(青年)役を演じたダーチンにインタビューした。
「セディック・バレ」抜擢で大きなチャンスをいただきました
Q 初めての映画出演の感想は。
A初めて映画に出演して、監督が自分をモーナ・ルダオ役に抜擢してくださり、大きなチャンスをいただいたことに感謝しています。まさか台湾でここまでヒットするとは思わなかった。私自身有名になれたことは思いがけないことなんです。
Q撮影現場での苦労は。
A撮影現場は大変なことの連続でしたが、映画をみますと1シーン1シーンの記憶が蘇ってきます。気分よくしっかり演じることができました。私はタイヤル族出身ですが、セディック族とは文化・習慣が似ています。元は一緒だろうと思いますが、ただ、言葉が違う。
セディック語の訓練にかなり、気を使いました。
Q険しい山中を裸足で撮影したとか。
A私たちの先祖が実際、山の中で裸足で暮らしていた、狩猟をしていたのは本当のことなんですね。時代考証により監督は当時のまま裸足で演じて欲しいと。ただ、山中には目に見えないところにイバラ(トゲ)がいっぱいあるんですね。裸足で山に入ると必ずトゲが刺さるというのが分からなかったんです。撮影中は痛いとか言えず、シーンが終わるまで我慢していました。
Q戦闘シーンが大変多いが。
A第一部太陽旗、第二部虹の橋、上下を通じてたくさんの戦闘シーンがあります。私に限らず、皆さん、戦いの場面は必死になって、力を限りに全力でやっていました。山の中では原住民はほとんど服を着ていません。ほぼ裸体に近いわけで服を着ている場合より当然、ケガが多いわけなんですが、にもかかわらず、他の方も戦闘シーンでは頑張っていました。こうやって演じ終えて映像を見ると、それだけのことをやる価値があったなと思って満足しています。