福島県の福島高校、安積高校、会津学鳳高校、相馬高校、磐城高校、会津高校の学生と教員ら38人が3月19日から台湾を訪問している。21日には理数系教育に注力する新竹の国立清華大学と国立科学工業園区実験高校を訪問し、現地の学生らと交流を行なった。
福島高校と会津学鳳高校、磐城高校はいずれも文部科学省が理数系教育充実のために実施するスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校であり、そのうち福島高校はコアSSHとして地域の中核的拠点としても指定されている。福島高校の橋爪清成SSH部主任は「日本は今、理数系教育とグローバル人材育成に重点を置いている。国としてとても身近で交流の深い台湾が両方を満たす場所として選んだ」と今回の台湾訪問の理由を話す。
21日午前中は理工系大学の名門として知られる清華大学を実験高校の学生らと一緒に見学。物理の実験器具の実演や3D映像鑑賞などを行なった。午後は実験高校へ移動し、英語の授業を台湾の学生と一緒に受けたほか、英語でのレポート発表が行なわれた。実験高校は台湾で唯一の「幼小中高一貫校」で、高校一年生マサチューセッツ工科大学現役合格者を輩出する進学校。科学(理系)コースの学生は2年生までに通常の高校カリキュラムを修了し、3年生からは清華大学の授業を受けると言う。交流の時間には積極的に英語で話しをする姿が見受けられた。
英語の授業の後、日本人の男子生徒は「授業のシステムが日本と根本的に違う」と圧倒された様子で話し、「オールイングリッシュであること。タブレット型パソコンの様な電子機器を普通に使っている」と特に驚いた特徴を挙げた。また「必然的に英語を使わなければならない環境におかれるのが一番上達する方法ではないかなと思った」と感想を話してくれた。また、別の日本人女子生徒は「レベルが高かった。大変だと思うけれど、羨ましく思った」と話し、「英会話をもっと頑張らなきゃいけないと思ったし、海外に行くとしたら、自分をアピールできる、絶対に誰にも負けないって言うものを持っていないと、そこでは生きていけないと思う」と授業を通して大きな刺激を受けたことを話してくれた。
はじめて日本人の学生と交流をしたと言う実験高校の女子生徒は「みんなとても礼儀正しかった。(始めは)ちょっと恥ずかしがってたのかも知れないけれど、打ち解けると色々話してくれるようになった」と日本人の印象を話した。そのほか、台湾人男子生徒は「短い滞在期間だけれど、少しでも台湾の良い印象を残してもらいたい」と交流を通じて学術のことばかりではなく、台湾の本質も知ってもらいたいと願う気持ちを語ってくれた。
橋爪主任は「教育のレベルが高く、驚いたのと同時に、逆に日本の教育がこのままで大丈夫なのかと言う危機感も抱いた」と、教員にとっても多くの「学び」があったことを明かした。また安積高校の森和茂教頭は「生徒の意識付けになればいいと思う」と交流の成果を期待し、「(訪問した学校に)フレンドリーに対応していただいてありがたい。震災の時の援助に関しても本当にありがたかった。これについてはみんなも知っていて、感謝しています」と台湾への感謝の言葉も語った。
実験高校の黄芳芷校長は「これからは沢山の人たちと競争ではなく、協力することが大切だ」と福島の高校生らとの交流を歓迎した。劉秀敏科学コース主任も「学生たちはもう福島に行きたがっている」と、今後も交流を継続していたい考えを述べた。福島からの高校生らは22日も新竹と台北市内を見学し、23日に帰国する。