宝塚歌劇団は4月6日台北国家戯劇院で、結成以来初めてとなる台湾公演を実施した。これは台北駐日経済文化代表処の公演依頼を受けて実現したもので、宝塚歌劇団の海外公演としても韓国公演に続いて8年振り。
台湾公演は全12回。「宝塚ジャポニズム~序破急~」・「怪盗楚留香外伝〜花盗人〜」・「Etoile de TAKARAZUKA」の三部構成となっている。特にミュージカル「怪盗楚留香外伝〜花盗人〜」は台湾公演のために制作された新作。怪盗「楚留香」は台湾で人気のある武侠小説の主人公で、2007年には台湾の人気アイドルグループF4のケン・チュウ主演でドラマ化された。
宝塚歌劇団制作部企画室村川研策室長は台湾公演向けの新作上演について「男役の格好良さが一番表れるのがお芝居。しかしながら日本語でしか上演出来ない。日本語でやると字幕見ながら見ていただかなければならない。そうすると親しみがあり、皆さんが何となく知っている演目が良いと言う所から、怪盗楚留香(に決まった)」と語る。また、チケットはほぼ完売状態で、台湾での注目の高さに「驚いてる」と感想を述べた。
今回の台湾公演では、台湾人に馴染みの深い音楽が使用された。「雨夜花」は1934年に流行した台湾歌謡。また「無樂不作」、「國境之南」は台湾映画「海角7號」で使用された楽曲だ。そのほかテレサ・テンの代表作として知られる「月亮代表我的心」も歌われた。流暢な中国語で歌った星組男役トップの柚希禮音さんは、一週間かけて歌詞を覚え、一ヶ月に渡って発音を特訓したという。
本番直前に行なわれたメディア向け囲み取材で柚希禮音さんは「(遂に)この日が来たと言う感じ。ワクワクと緊張と不安と、色々な心情でございます」と語り、台湾公演への思いを「宝塚歌劇団は台湾に来るのは初めてなので、女性だけで世界に一つだけしかない劇団なので、その魅力を沢山お届けして、そして日本にも見に行きたいなと思っていただける様に公演したい」と語った。
娘役トップの夢咲寧寧さんは東日本大震災における台湾からの支援に対して「本当に沢山のお心が有って日本に沢山の義援金を送っていただいて、日本は助かったと思う。その感謝の気持ちを私たちは舞台で皆様にお返しができれば」と話し、来年で100周年を迎えることについて「これが100年、200年と続く様に、そしてそれが、日本だけでなく、台湾や世界の方達にも深く心に届く様に、愛していただけるような先駆けになれれば良いと思う」と話した。
柚希禮音さんは最後に「また台湾でもう一度お願いしますと言っていただけたらなと思う」と話すなど、台湾での再演の可能性も示唆した。公演は14日まで行なわれる予定で、千秋楽には馬英九総統の観賞も予定されていると言う。