人間の交流が基礎、知り合って仲良くなることから始まる
民主党代表として活躍中の海江田万里衆議院議員に日台関係について聞いた。
Q台湾と日本の交流について
A日本と台湾の交流でいうと、2012年は、年間約143万人ぐらい、日本の旅行者が台湾を訪問したとする一方で、逆に台湾から日本を訪問した旅行者数は約156万人ぐらいです。台湾では、年間300万人の往来を目標にしていたと聞いていますが、(ほぼ達成され)双方の旅行者数がほぼ同じぐらいというところで、その交流が一方的ではなくて、バランスの取れたいい関係になったんですね。東日本大震災がありましたから、その意味で一時期、少し皆さん方、旅行者が減ったこともありましたけど。まず、交流、人間の交流が基礎ですよ。知り合って仲良くなることが基礎ですので、その意味で(日本と台湾は)相互依存の理想的な関係だなと私は前から思っていました。
Q台湾の魅力について
Aしばらく行っていませんが機会があったらぜひ行きたいと思っています。温泉とおいしい料理、それとやはり故宮博物院ですよね。あのすごい文物が日本に来るわけですから、私もまた見に行きたいですね。こういう文化の交流が人の往来の基礎にもなると思います。
Q東日本大震災について
Aまず、(台湾の)読者の方にね、東日本大震災に際して義援金や物資などの援助を頂いたことに心から感謝申し上げます。
Q日台のビジネスについて
A大陸に日本企業が進出する際に、台湾企業と一緒に協力し合って出て行くと大陸でのリスクを少なくすることになるんですよね。それは、台湾にとっても日本にとってもいいことだし。昨日(25日)、王金平立法院院長は私と会った後、交流協会の大橋光夫会長にお会いになるとおっしゃっていましたが、大橋さんはこういう事情をよくご存じですから、当然、協力はすると思います。これは大事なことです。それと日本と台湾の共通点は中小企業が強いということです。その意味で一緒に手を組むことは大切です。
Q安全保障について
A領土問題は、お互いに譲れないところですよね。ただひとつ光明を見いだせているのは、今まで暗礁に乗り上げていた漁業交渉が前に進もうとしていること。お互いにルールを作ってやるということが大事で、動きだしたのはいいことだと思います。
問題は、台湾海峡というより東シナ海。そこを安定させないといけません。中国の方に言うんですが、航空母艦を5隻作るというようなことをしていたら国は滅びますとね。GDP世界2位と言いましてもまだ格差社会ですからね。これは何も中国だけではなく、台湾も日本でもそういうことが起きています。経済的に安定した生活を送ってもらうことが大事じゃないですか。それを忘れたらダメですよ。
Q民主党の台湾政策は
Aご存知のように民主党は前回の衆院選で負けまして、体制立て直しが私の役割ということでそちらに注力しているわけですが、ただ、やはりアジアの人と仲良くしていかないといけません。台湾とも友好を一層、深めていきたいですね。機会があればぜひ訪問したい。今は野党ですし比較的自由な立場でもありますから。
●プロフィール
海江田 万里(かいえだ ばんり)1949年生まれ。日本の経済評論家、政治家。第10代民主党代表。衆議院議員(6期)、衆議院財務金融委員長、市民リーグ代表(初代)、民主党政策調査会長(第5代)、内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)、内閣府特命担当大臣(科学技術政策担当)、経済産業大臣(第14代)などを歴任した。父親は新聞記者で中国や台湾在住経験があり、“万里”の名前は万里の長城に因む。