~立法委員が提案~
台湾の立法委員(国会議員に相当)はこのほど、これまで今年10月に予定されていた電気料金の値上げの凍結を提案した。この理由に「経済成長率が3期連続で3%以上の成長がない場合電気料金を値上げすべきでない」とし、現状経済の成長に憂慮した。
しかし台湾唯一の公営電力会社である台湾電力(台電)は、これまで2139億台湾ドル(約7500億円)の累積赤字があり、当初予定の値上げが実施されない場合2632億台湾ドル(約9000億円)の累積赤字に達する見込み。これは同社の資本金額の2/3に相当し、さらに経営が圧迫されるものと見られる。
一方、昨年台湾中油(台湾の国営石油会社)は6回の天然ガスの値上げを実施。これにより台電の発電コストが上昇。今年の支出額だけを見ても300億台湾ドルに達し、累積赤字がさらに拡大。経営が圧迫されると予想される。
電気料金引き上げは、元もと3段階の引き上げが決定されていた。第一段階は昨年6月の40%の値上げ。第二段階は昨年12月の40%、そして第三段階の残り20%は台電の経営効率改善の度合いを見極めながら実施される事になっていた。しかし、当初予定だった今年10月の実施は、昨年12月に実施予定だった第二段階が国内の経済状態を理由に政府の指示で今年10月に延期された。このため当初計画から大幅な実施延長が生じていた。
台湾電力では、電気料金が値上げされた場合でも省エネ効果が期待できるとし、エコ推進のためにも電気料金の調整(値上げ)が必要である、と今回の立法委員提案に反論している。
同社によると、10月の値上げが実施されない場合今年の赤字額は700億台湾ドル(2400億円)に達し、これまでの累積赤字の合計額は資本金3300億台湾ドルの2/3相当に達しさらに経営が厳しくなるとしている。