公益財団法人交流協会台北事務所は17日、平成25年春の叙勲で「旭日小綬章」を受章した李雪峰氏への授与式を実施した。これは李氏が長年に渡り日台間の相互交流と相互理解の促進に多大なる貢献をされたことを讃えるもの。李氏は現在、太平洋戦争末期に神奈川県の高座海軍工廠で勤務していた元台湾少年の同窓組織である台湾高座会の総会長を務めている。
交流協会樽井澄夫代表は挨拶の中で、李氏が高座会の活動を通じて日台友好親善の増進と、台湾における対日友好感情の維持と増進に寄与したことに言及し、「その活動は幅広く多岐に渡り、日台間の相互交流促進に大きな貢献をされた」と述べ、感謝と敬意を表した。また、現在の日台関係を「最良な時期」とした上で、「(李氏が)大事に育んだ心と心の深い絆が極めて重要な役割を果たすことになるだろう」と、今後の日台関係のさらなる発展を期待した。
李雪峰氏は「ただ私一人の栄誉ではなく、全高座会員が築いてきた一大親善交流と国民外交の結晶の賜物」と日本語で謙虚に挨拶。また、戦後になり台湾が工業化や民主化を経験する中で、「かつての故国、日本との親善交流は最も強い夢であり、希望だった」と、高座会設立の当初の目的を回顧した。李氏は式典の後、メディアの取材に応じ、「ただ嬉しいばかりです」「思いもよらなかった」と喜びをコメント。
またその中で、高齢化が進む高座会の存続問題については「まだ決まっていない。私一人で決められるものではないから」とする一方で、「皆の意見を伺った上で、高座会が解散したとしても同じように(交流が)行なわれると思う」と話し、別の形で交流を続ける意向を示唆した。李氏によると高座会会員は1993年頃が一番多く、4~5000人の会員が参加していたと言う。現在は1000人程度に減少しており、「これからどのようにして若い人についてもらおうか考えている」とも。元海軍少年工の歴史をどう継承していくかが今後の課題だ。
一方、高座会の今後の活動について担当者は、東日本大震災に関連した、東北支援と台湾からの震災支援に感謝するイベントを計画中だと話し、引き続き日台交流の増進に努める考えを明らかにした。