台北世界貿易センター世貿一館と南港エキシビジョンセンターで開催された「第23回台北国際食品博覧会」には、日本からも多くの企業が参加した。価格面では日本の食品が持つ「安心安全」、「健康」、「高品質」のブランド力を武器に、日本商品にとって有数の「お得意様」とも言える台湾市場のさらなる開拓を狙った。
沖縄県の新垣通商は栄養価が高くミネラルが豊富な「もずく」を台湾に持ち込む。日本で生産されているもずくは90%以上が沖縄産。新垣旬子代表取締役は「コンブと比べても食べやすい」、「きれいな環境で育ち、高ミネラル」ともずく魅力を強調する。台湾では健康に気を遣い、ベジタリアンの人が多いことから、「我ら沖縄にもチャンスはあるのではないか」とフードタイペイへの出展理由を明かす。特に最近では台湾人の認知度も高まっていると言う。実際に試食コーナーには多くの来場者がつめかけ、その場で購入して行く人の姿もあった。
同じく沖縄県企業の南島酒販は豊富なバリエーションを揃えたお酒の販売拡大を狙う。しかし、一般に日本のお酒を台湾で販売すると、高額の関税が課せられ、台湾人消費者の手には届きにくくなることも確かだ。 森山高志営業総括部長は「美味しくて皆さん方に納得していただいて喜んでいただける商品を持ってきた」と話し、多少高価であっても品質で勝負したいと意気込む。瑞穂酒造は、すでに台湾に工場を擁していると言う。また「もろみ酢」の台湾での販売も手がける。山里英智海外事業部マネージャーは、台湾の原材料を使って泡盛や梅酒などの製酒を行ない、日本への逆輸出を計画していると言う。まだ試作段階だと言うが、ゆくゆくは、台湾国内でも販売したいと考えを明かした。
一方で宮崎県は県内企業がお揃いの旗と法被を準備し参加。南日本酪農協同松本正一次長は台湾市場を「非常に魅力的」と語り、積極展開を図りたい考えを明かす。「日本食をメインに扱っている所や一部のコンビニでテスト販売を開始している」とも話し、すでに手応えを感じているようだ。浪漫Food’ s金子幸博さんは串間市で栽培されている「ごぼう美人」を使用した「ごぼう美人茶」の売り込みを図る。金子さんは「成分を残したまま遠赤外線で焙煎し、風味と味を損なわないのが特徴」と語り、独特のえぐみがない健康的なごぼう茶で台湾市場への進出を狙う。
会場には「日本のものだから」と言って日本ブースを覗き込む60代の男性もおり、日本の食品が持つブランド力の大きさは依然健在であった。また、試食、試飲を行なっているブースの集客力は圧倒的であり、どう商品を魅力的にアピールするかが、展示会での反応の善し悪しを左右する一面も伺えた。