通常の太陽光発電パネルの表面に誘導体アンテナ(シリコン)を蒸着させることで年間発電効量を30%~100%アップさせるという夢のような新技術がある。発明(特許取得)したのは、発明家として知られる鈴木文雄氏(元三菱電機エンジニア)。この新技術を具体化しようと国内外の企業との橋渡しを試みているのが、加納一博さんだ。
加納さんは元大手電機メーカーの営業として実績を積み、15年前に独立し、会社を経営。7年前に個人事業家として世の中の優れた技術を拾い上げて企業との間を取り持つ仕事を仲間2人と続けている。
太陽光発電の普及は日進月歩だ。今では約1兆円産業となり、さらに市場を拡大しつつある。その要となる技術が発電効率のアップ。各メーカーが鎬を削る世界でもある。そこに登場した誘導体アンテナ付太陽電池。原理としては、誘導体アンテナによって周辺の太陽光エネルギーを電磁波として取り込むことで発電効率を大幅に上昇させることができるというものだ。
「大局的に見て誘導体アンテナの導入は20%~30%のコストアップになると推定されます。一方で年間発電量は30%~100%以上増加すると見込まれます」(加納さん)
加納さんは、この新技術をこれまで経済産業省資源エネルギー庁、産業総合研究所などにもプレゼンテーションを行ってきたが“実証実験”が現状では難しいこともあり、まだ採用に至っていないという。
一方、加納さんは日本の某大手携帯電話会社のショップ設備を、台北駐日経済文化代表処の紹介により、台湾企業に生産を委託するといった事業の仲介を行うなどの実績がある。こうした縁で昨年、台北駐日経済文化代表処を通して、台湾政府関係省庁の協力を呼びかけることで、製品の台湾国内実用化を目指している。
さて、この夢の技術の行方は?