中華亜太中小企業経済合作促進会(CTAPEC)は8月7日、中小企業を対象にした「交流および企業発展フォーラム」を開催した。これは中国大陸をはじめとする海外進出を検討する台湾の中小企業を対象に行われたもの。日本からも台湾での事業拡大を狙う企業が参加し、台湾企業との協力関係構築の可能性を探った。
今年6月、台湾と中国は「両岸サービス貿易協定」を締結し、中台間のサービス貿易が一部自由化された。これに伴い、台湾中小企業の中国大陸進出が容易になったばかりでなく、日本企業も台湾企業との協力関係を築くことで、中国大陸への進出がスムーズになった。今回のイベントでは、食品、物流、医療、インターネット情報交流サイトなど、すでに海外で事業展開をしている、もしくは検討している企業の事業内容説明が行われた。
日本からは医用工学研究所の北岡義国代表取締役社長がすでに中国河南省鄭州で実用化に向けて輸出に取り組んでいる医療用情報管理システムを紹介。東京でかれー麺実之和を経営する大久和紀代表取締役は、台北八徳路で建設中の商業施設「台北秋葉原」に出展予定の日本食レストラン街を中心とした街づくりを手がける。大久さんは、香港やシンガポールなどにオープンしたラーメンをテーマとしたフードコートが営業面で苦戦を強いられていることに触れ、「日本食だけではなく、おもてなしの文化も発信できる場所」、「家族みんなが遊べる場所にしたい」と意気込む。
台北秋葉原のフードコートに関する報告発表後には、興味を持った企業の担当者がかけより、その場で商談の時間を取り決める光景も見られた。飲食店の会員制割引優待サービスを運営する凱迪国際の蔡自立社長は、「とても興味深いプロジェクトで、どんな協力ができるか話し合いたい」と期待を寄せる。また、「長期的に経営するためには、味を台湾人に合わせることも必要」とアドバイスする女性経営者もいた。
このような海外進出を検討する企業に対して、香港に本部を置く国際傑人教育基金会は全面的なサポートを約束する。海外で活躍する実業家や賛同者らが集まり、「次の世代に活躍するリーダーを育成」することを目的に組織されたこの基金会は、海外での事業拡大を目指す企業に対して積極的に融資や指導を行う。佐保常夫理事長は投資計画について、親が子どものために惜しみなく投資することと同じだと笑う。
国際化の波は中小企業にも押し寄せている。いかにパートナーと協力、提携関係を結び海外進出を図るかが、今後の生存競争の結果を左右することにもなる。参加者の表情は真剣だったが、期待や希望にも満ち溢れていた。CTAPECは今後も中小企業の協力、交流促進を働きかけたいとしている。