NHKスペシャル シリーズ 「JAPANデビュー」初回放送の「アジアの“一等国”」( 総合2009年4月5日21:00~22:15)は放送直後より、番組内容を巡って日台友好団体・個人の間で物議を醸し、同年6月には早くも訴訟が提起され(原告団長:髙池克彦弁護士)、その後、第二次訴訟が加わるなど、その原告数は日本と台湾両国の視聴者や番組出演者を含めて戦後最大、10355人に上った。
番組への批判は、「日本統治時代が悪と一方的に描かれており、内容が偏向している」「日本の台湾統治を批判するため、(台湾人の)証言をねじ曲げている」「番組にはやらせや、事実の歪曲・捏造があり、放送法に違反している」はじめ、多岐に渡った。
一審の判決は平成24年12月14日だった。結果は敗訴。すべての争点が棄却された。これを受けて原告団は控訴し、その後、2回の口頭弁論を経てこの11月28日午後4時に判決が下されることになっている。
ちなみに、同番組の制作統括は河野伸洋氏、ディレクターは濱崎憲一氏、島田雄介氏だった。一審では島田ディレクターが被告側証人となった。
こうしたなか、訴訟を含めて抗議活動を中心的に担ってきた日本李登輝友の会は、9月28日、定例の第11回台湾セミナーで同控訴審を担当する尾崎幸廣弁護士を招聘し、講演会を開催した。内容は一審判決の問題点の整理と控訴審での反論だった。尾崎氏は、控訴審で争点となった「原告パイワン族の高許月妹さんのどのような権利が侵害されたのか」について第二準備書面で「自己情報のコントロール権の侵害」であると反論・執筆していた。
冒頭挨拶に立った柚原正敬事務局長は「髙池弁護団長によれば通常は1回の口頭弁論で結審するものだそうですが裁判への関心が深く、2回の口頭弁論が開催されました」と判決への期待を込めた。
尾崎弁護士は講演で一審判決に対し、4つの問題点を指摘した。1つは「台湾統治を否定的に見るわけですね、ことごとく。後藤新平さんの功績を逆にとらえて台湾人を差別し残酷に取り扱った親玉と言わんばかり」、2つ目は「台湾人は漢民族で言葉は中国語と決めつけた」、3つ目は「『日台戦争』などあたかも日本と台湾が戦争をしたかのように描いた」、4つ目は「『人間動物園』という言葉を用いてパイアン族原住民出演者の権利を侵害した」だった。
講演後、尾崎弁護士は「裁判官の関心も高い。口頭弁論の回数も多かった。判決は期待できるのではないか」と語った。
質疑応答では、来場者からNHKの同番組への批判が相次いだ。