中華民国行政院経済建設委員会は、自由経済モデル区の紹介と同モデル区を活用した日本企業の台湾及びアジアにおける事業展開の可能性について、日本企業と意見交換を行うために、同委員会の主任委員(大臣に相当)を団長とする訪日団を組織し、9月3日、経団連会館で、日本企業向けセミナーの開催とそれに合わせた記者会見を実施した。
記者会見(午後1時半)では、中華民国行政院経済建設委員会主任委員管中閔氏が「(モデル区は)経済の自由化を図り、民間投資を促し、地域経済を発展させていくこと」が目的だと述べるとともに、第1期(5港湾1空港)、第2期(中央政府による策定または地方からの申請で設置)の自由経済モデル区の内容を説明した。日本企業のメリットとして物流基地の設置や規制緩和によるグローバルビジネスの展開などをあげた。
午後3時からは、別室にて台湾自由経済モデル区セミナーが開催された。冒頭、管中閔主任委員は、今回のモデル区の提案により、今後は製造業の投資だけでなくサービス業の投資も活発になるとし、日本とは大切なパートナーとしてウィンウィンの関係を築きたいと語った。
また、台北駐日経済文化代表処沈斯淳代表は、日本の対台湾投資件数は昨年619件と過去最多となるなど日台間の経済連携は緊密さを増しているとし、今後も両国の経済発展を代表処としても全力でバックアップしていきたい、と述べた。
この後、「台湾のビジネス環境と日台アライアンスの事例・モデル紹介」と題し、野村総合研究所(台湾)董事副総経理の田崎嘉邦氏が講演を行った。趣旨は「台湾の投資環境の実際はどうか」というもので、最近の台湾のGDP伸び率は下がりぎみだが、これは台湾は輸出(立国)により経済をけん引してきたため。これには限界があり、投資を外から呼び込むことで経済成長を実現すべく、今回のモデル区構想が出て来た、と説明した。
続いて、中華民国行政院経済建設委員会部門企画処長詹方冠氏は、「自由経済モデル区の概要及び活用方法」と題し講演を行った。「人材・商品・資金の自由移動」(外国籍人材の雇用制限の緩和など)、「市場開放で世界にリンク」(投資制限を緩和)、「投資に優しい租税環境づくり」(国内外の投資誘致・企業の専門技能や技術の取得支援など)、「用地取得をより迅速に」(用地取得体制の強化ほか)などについて詳細が解説された。
詹方冠氏は、「日本は台湾の重要なパートナーであり、日本企業による自由経済モデル区の優遇措置の利用、また、ポストECFA時代の両岸の新局面での莫大な商機獲得をサポートします」と結んだ。
最後に、野村総合研究所常務執行役員コンサルティング事業本部長此本臣吾氏は、台湾への進出について「個々の事案は台湾政府と協議して詰めていくというプロセスを経ますが、この活動は台湾政府の委託を受けて弊社がコンサルティングする体制を整えています。このセミナーが、台湾進出のきっかけになることを祈ります」と締めくくった。