「一般社団法人日本から台湾の世界遺産登録を応援する会」が主催する「知られざる台湾世界遺産候補地の魅力展」が、都内で11月29日から12月1日の日程で開催されている。
3日間に渡り、イベントホールでは、「一龍斎貞花による講談」「一青妙さんの講演」「謝謝台湾計画の木坂麻衣子さんのトーク」「台湾在住作家・木下諄一さんのトーク」「台湾在住の旅作家・片倉佳史さんのトーク」など台湾に関わる“著名人”が日替わりで参加し、場を盛り上げている。
台湾には現在、国連(中国)との関係、ユネスコ加盟国でないことなどにより、世界遺産登録の申請ができず、したがって「世界遺産は存在しない」が、(台湾は)2002年より18ケ所の候補地を選定し、ユネスコに働きかけ続けている。こうしたなかで日本との連携により登録を実現させようと発足したのが「一般社団法人日本から台湾の世界遺産登録を応援する会」。
18の候補地のなかには「烏山頭ダム及び嘉南大圳(かなんたいしゅう)」がある。これは日本人の八田與一技師(水利技術者)が中心になって、10年の歳月をかけて1930年に台南市に完成させたもの。ダムは長さ1273m、高さ56m、有効貯水量は1億5000㎡、用水路16000km、嘉義・台南地区10万haの耕作地に灌漑を行うことができた(現在も活躍)。
当然ながらこの前代未聞の大工事には様々なドラマがあった。この八田技師の奮闘ぶりを講談という形で、広く世に伝えようと立ち上がったのが講談師・五代目一龍斎貞花さんだった。
午後7時に始まった講談は、身振り手振りで八田技師の活躍、仲間との友情、台湾人との親密な関係、そして、殉職(輸送船撃沈)、妻外代樹の投身自殺(烏山頭ダム)までを描いて見せた。
講談終了後、一龍斎貞花さんは「日本人が知らない、海外で活躍した素晴らしい人をぜひ知っていただきたい。そして、世界遺産になれば日本人にもまたピックアップしていただける。台湾は親日の国。もっと仲良くしていかなければいけない。王貞治さんにも『(八田技師は)恩人だから続けてやってね』とおっしゃっていただいています。これからも語り続けていきたいと思います」と語っていた。