台湾の中國工程師學會(中工會)が主催する台日工程技術研討会(シンポジウム)が11月24日から29日にかけて台北市で開催される。これは1980年から年に1回、2007年からは2年に1回、開催されているもので、今回で30回目となる。共催は、台湾科学技術協会(中国工程師學會日本分會)。
内容は、前述中工會が日本の約60人の専門家(技術者・研究者)を招待し、講演やシンポジウムを行うもので、今年は17分野(原子力・鉄道・インフラ関連など)57人の日本人専門家が訪台する。
その壮行説明会と記念懇親会が、11月8日、台北駐日経済文化代表処で午後5時から実施された。懇親会(午後6時)には、第26回から29回のOBも出席した。
説明会の冒頭、台湾科学技術協会徳山喜政理事長(東京工芸大学教授)は、中工會は台湾で最も歴史ある、規模の大きな工学関係の学会であり、今年で30回目を迎えることに触れながら「本シンポジウムの目的は台湾と日本の産業技術の交流を促すことにあります。そして、台湾政府の各省庁からも重視されています」と述べた。
この後、同シンポジウムの日本側運営スタッフ(台湾科学技術協会=理事長・理事・監事・顧問・事務局)13人の紹介、シンポジウム出発前の案内と注意事項の説明、質疑応答、訪台団の団長1人、副団長2人の選出が行われた。
主なスケジュールは、24日:出発・歓迎パーティ、25日:開会式・基調講演・九份・金瓜石参観・見学、26日:馬英九総統謁見・総統府参観・国立故宮博物院参観、27日:グループごとに分かれて講演・討論(福華大飯店)、28日:講演・討論・送別パーティ、29日:帰国 、となっている。
質疑応答では、講演は自分のPCで行うのか、会場(台湾)のPCか、パワーポイント画面は日本語か中国語かといった具体的なものが多かった。
団長選出では、堤井信力東京都市大学名誉教授(龍華科技大学教授)が司会を務めた。堤井名誉教授は全30回のシンポジウムに関わってきた経験から「大事なのは人的交流です。発表に神経質になりすぎる必要はありません」と出席者の不安を和らげた。団長人事は事務局があらかじめ内定、ご本人から承諾を得ており、説明会参加者の承認をもって団長は、大日本コンサルタント株式会社の川神雅秀会長と決まった。
台北駐日経済文化代表処科学技術部蔡明達部長も本シンポジウムの成功を祈念していた。
懇親会はOBも加わり、賑やかなものとなった。台北駐日経済文化代表処沈斯淳代表は、「日本の皆様には、これまでの台湾科学技術協会との交流に感謝致します。建築、土木、航空など様々な分野で交流でき、貴重な経験をさせていただきました。今回のシンポジウムでも、台湾科学技術協会と交流や有意義な意見交換ができると信じております」と挨拶。この5年間の日本と台湾の産業連携や人的往来の進展にも言及した。
続いて、第29回の副団長だった一般財団法人阪神高速道路技術センターの松尾武さんが挨拶、乾杯の音頭は今回の訪台団団長に決まった川神雅秀さんが行った。
出席者の声を聞いた。
「9月に上司からこの件を聞きました。インフラ関係です。研究は、基礎から応用まで幅広くやっています。台湾では日本より進んでいる部分もあり、講演は、ちょっと不安もありますね」(匿名希望)
「29回の参加です。今回は講義1回のみ参加します。ロシアから飛んできて、終えたらすぐに戻ります。分野はレーザです」(浜松ホトニクス株式会社植田憲一開発本部 大出力レーザー開発部研究開発グループ顧問)
「僕は27回の参加です。会社自身台湾で事業をすでに行っていたんですが、シンポジウムは大変、勉強になりましたし、講演だけでなく、様々な配慮でいい経験をさせていただきました」(株式会社横河ブリッジ佐々木保隆常務取締役)
「27回のOBです。鉄道関連です。やはり、自分がやっていることを聞いてもらえるというのは嬉しい経験でしたし、実際、使っていただくことができました。ツアーには行けませんでしたが、食べものがおいしかったですね」(清水建設株式会社技術研究所鈴木健司主任研究員)
記念撮影終了後、中締めは、台湾科学技術協会徳山喜政理事長が行った。