國建會日本聯誼會は、12月7日、都内で恒例の中華民国102年後期公開講演会&演奏会を忘年懇親会を兼ねて開催した。司会は副会長(国立木更津工業高等専門学校教授)が務めた。
冒頭挨拶に立った周子秋会長は、今、福島の原発事故を契機に日本でも台湾でも核の問題がクローズアップされているとし、「私たちは、福島の教訓を生かすべく原発の基礎や被爆から自分の身を守るにはどうしたらいいか、東大の朝倉健太郎先生にお願いして来ていただきました」と講演の趣旨を説明した。続いて台北駐日経済文化代表処教育組の王鴻鳴秘書が祝辞を述べた。
講師の朝倉健太郎氏は現在東大の非常勤講師&NPO法人先端医療福祉開発研究会名誉会長。3年前まで東大に勤務、約30年間原子力研究に携わってきた。専門は高速増殖炉の材料開発、将来の核融合における原子炉の材料研究。講演のテーマは「原発の基礎と放射能・放射線の違い、被爆から身を守る」だった。
発電の仕組みのなかで、「核分裂の際に発生する崩壊熱は止める手段はなく、水で冷やすことを止めれば燃料が溶けて放射性物質が大気中に漏れ、東京はおろか日本にも住めなくなる。永遠に汚染水は出続ける」といった解説や「政府の試算では原発は発電コストが火力や太陽光などの自然エネルギーなど、他の発電方法より安く、しかも二酸化炭素を出さず、クリーンと言っているが、学者の試算では原発の発電コストはもっとも高いうえ、実は、ウラン採掘、濃縮、ペレット化、原子炉での使用までは試算に入っているが、ウラン採掘残土、劣化ウランの処理、廃棄物処理、再処理コスト、さらには事故が起きた際の瓦礫廃棄物の処理、廃炉などは計算外で、これを含めれば膨大なコストになる」といった指摘に会場から溜息が漏れた。
朝倉講師は「小泉前首相は『原発即ゼロ』と言いましたが、同感です。使用済み核燃料は地中深く10万年の間ストックしないといけませんが地震国日本にはそんな土地はありません。ゼロの方向に力を注いでいきたいと考えています」と締めくくった。
この後、林永全博士(バイオリン演奏)・林悦子博士(二胡演奏)親子の演奏が行われた。
懇親会は、黄國光総幹事が司会を担当。乾杯の発声を徳山昌平目黒病院理事・顧問が務めた。和やかな歓談、美味な客家料理に舌鼓を打ちながらの交流が続いた。
中締めは林国安理事だった。