東京国立博物館、國立故宮博物院などが主催する台湾の故宮博物院の名品を紹介する展覧会「台北 国立故宮博物院 神品至宝」の報道発表会が1月29日、会場の1つとなる東京・上野の東京国立博物館で開かれた。
日本で初めて開催される同展は、6月24日~9月15日に同館で、10月7日~11月30日に九州国立博物館で開催される。ポイントは各会場で開幕から2週間限定で故宮博物院を代表する門外不出の収蔵品、「翠玉白菜」(東博のみ)と「肉形石」(九博のみ)が初公開される点だ。
ちなみに、同展では、故宮博物院の収蔵品の中から231点が厳選公開され、重複展示品を含め東博では186点、九博では110点が展示されることになる。
冒頭、挨拶に立った東博の銭谷眞美館長は「最も古い歴史を持つ東博が、これまで実現できなかったのがこの展覧会です。歴史や文化に関心を持つ多くの人々の長年の夢が、アジアで初めての故宮博物院展として実現する運びとなりました。また、今回、門外不出と言われる収蔵品、『翠玉白菜』『肉形石』をご出品いただいたことは日台友好の証として特筆すべきこと」と力を込めた。
九博の三輪嘉六館長は、「当館は国立博物館としてはいちばん新しい。日本文化の形成をアジアの視点で見て行こうというのがコンセプトで、今回の展覧会はまさにこれと一致するものです。九州は台湾との交流が豊かなところです。今回の開催は、九州すべての方々が心から期待し応援しています」と述べた。
一方、故宮博物院の馮明珠院長もビデオメッセージで参加した。馮院長は、故宮博物院は優秀なスタッフのこれまでの努力によって同院の名が次第に広まり、今では世界でも重要な博物院として知られるようになりましたと述べながら、「台湾と日本の文化交流を促進するため、当院の貴重な収蔵品がアジアで初めて展示されます。展示品は当院のワーキングチームが入念に作品を厳選したもの」と本展覧会の成功を祈念した。
この後、台湾人の父を持ち、台湾とゆかりの深い歌手の一青窈さんが同展を応援する「展覧会サポーター」に就任したことが発表された。登壇した一青窈さんは「父が台湾(人)ということで仕事をいただき、とても光栄です。一生懸命サポートします。1年に2、3回は『台湾に行きたい』と言う友達を故宮博物院に連れて行きますね。博物院のスタッフのようです。(今回出品される名品では)紫檀多宝格方匣(皇帝の玩具播箱)などが好きです。なかなか見られないものが来ますし、日本語の解説で見やすいと思うのでぜひ足を運んでみてください」と会場に呼びかけた。
なお、東博の本展チーフを務める富田淳さんが展示内容を説明した。展示構成は、序章から3章まで。新石器時代から始まり、青銅器や玉器を展示する序章、北宋・元時代の書画や青磁などを展示する1章、元、明などの工芸品などを展示する2章、清朝、乾隆帝時代のコレクションなどを中心に展示する3章からなる。