映画「呉さんの包丁」が公開中だ。映画館での配給とは別に、林雅行監督は、台湾料理店での上映&食事会を都内を中心に展開していて好評だ。こうした地道なプロモーション活動の一環として、1月24日には台北駐日経済文化代表処での上映会も実現した。
成果は着実に表れ始めた。1月25日に台湾料理店「紅燈籠」(有楽町)で企画された「有楽町で食べましょう」~台湾料理&呉さんの包丁~は定員40人を上回り、断る事態となった。
午後12時過ぎにイベントが開始された。冒頭、挨拶に立ったのは林監督と懇意の仲だという湾生の廣繁喜代彦さん(基隆中学校同窓生会長)だった。廣繁さんは、「一昨年は100人いた同窓生ですが1年に30人ずつ減っていく状況でして、これでは3年でゼロになる計算です」と会場を笑わせた。また、日本にある台湾料理店は偽物が多く、最近はずいぶん看板を降ろしたが、この店(紅燈籠)の女将さんはかたくなに台湾料理の味を守っている数少ない本物だと紹介した。
「先月、友人の基隆市長に会ってきました。林監督と今度は、基隆で何か企画しましょうと話しています」(廣繁さん)
この後、台湾人クォーターでもあるハープ演奏家で、「呉さんの包丁」ではメインテーマを手掛けた彩愛玲さんが登場、祖父が台湾人で14歳で来日したこと、祖母は日本人だったことなど、台湾との関わりを述べながら「まず一曲目は台湾歌謡『望春風』を演奏したいと思います」と述べた。
上映会は、時間の関係などもあり、特別に編集された30分バージョンだつた。参加者は熱心に鑑賞していた。終了後、台湾料理が振る舞われた。焼きビーフン、ダイコンもち、玉子焼き、杏仁豆腐、そして、お土産に台湾粽というメニュー。参加者は本場の味に舌鼓を打っていた。
最後の挨拶に立った林監督は、「今、中国語版を作っておりまして3月には完成します。その後、4月になったら金門島での上映会を無料でやりたいと思います。できれば台湾本土や厦門、中国でも上映したいところですが、なかなか制約があって厳しいかもしれません。ですが映画は比較的大丈夫なんですね」と述べていた。
林監督は制作はプロでも配給は素人、映画館の支配人と直接交渉しながら頑張っていますとも話していた。
現在、映画「呉さんの包丁」公開記念「呉さんを訪ねて…。林監督ツァー同行、歴史・文化を感じる離島の旅」(5月18日~21日)が募集中となっている。