元中華民国総統の李登輝氏は27日、「第二の民主改革」始動のため台中での講演に向かう新幹線への乗車前、記者から、「両岸サービス貿易協定」に反対し立法院を占拠している学生らと、それに対しての現中華民国総統の馬英九氏の対応について問われ、「国家の指導者たるもの、学生の意見に耳を傾けるべきで、警察力を使って彼らを排除するべきではない。学生たちが殴られている光景を見るのは耐えられない」などと述べ、また、同日台中で出演したラジオ番組では、「学生たちは将来の国家にとって大切な存在だ。警察力を用いて排除するべきではない。まずは彼らと会って話を聞き、問題点と解決法について話し合うべきだ。こうしたことができないのならば、何のために指導者に選ばれたのか。台湾がこんな風に変わってしまったのを見ると、本当に涙が出る。」と声を詰まらせながら語った。
李登輝氏は、1990年3月16日に発生し3月22日に終結した全国の大学生約6,000名が参加し、中正紀念堂広場に座り込みを行った学生運動(野百合学運)の際、学生側の国民大会解散や、戒厳を定めた「臨時条款」の撤廃、党派や立場を問わず広い範囲の人々を集め国家の重要方針を決める「国是会議」の開催などの要求を受け入れ、間もなく国是会議を開催。1991年には臨時条款を解除、その後「万年国会」の改革に着手し、台湾民主化における重要な転換点を生み出した人物である。