台湾の野球映画として封切り後、台湾で大ヒットとなっている映画「KANO」。日本統治時代の台湾で、野球に打ち込み「台湾代表」として甲子園出場を果たし好成績を収めた嘉義農林高校が舞台となっている。嘉義農林高校は現在「嘉義大学」と名前を変え、現在も野球部は熱心に練習に取り組んでいる。その野球部でコーチを務めるのが、かつてダイエーホークスで助っ人外国人選手としてプレーした台湾人の陳文賓氏だ。「映画『KANO』は台湾では非常に人気があります。KANOに描かれたのは、『台湾に日本の野球が持ち込まれた』という背景ですが、私の場合も『日本で学んだ野球』を現在台湾の学生達に教えており、その点では一致する点は多くありますね」と話す。
陳氏は、日本のチーム在籍時代、当時監督であり日台の野球人から慕われている王貞治氏から多くのことを学んだと言う。「王監督のもとプレーできたのは幸せだった。王監督には特に、精神面でのことを多く教わりました。練習をとにかくたくさんすること。そのことで本番にも準備が備わる。『練習は嘘をつかない』と王監督は話していました」と振り返る。日本で学んだ精神や技術を、嘉義大学の野球部の学生達に伝える陳氏。ホークスのキャンプで習ったという「足の運び」や「グローブさばき」などは反復して選手の身体になじませるように指導している。「日本では王監督のみならず、優れたコーチ陣、さらには小久保選手や松中選手、川崎選手といった練習熱心な選手達を直に見ることができた。これらは今後の私の指導者人生に於いても貴重な財産となるだろう」と話す。
映画「KANO」は今月の「大阪アジアン映画祭」で公開されたが、日本の映画館での上映は未定だ。日本と台湾の友好を祈願する映画ファンは「KANO」の一刻も早い日本での上映を待ち望んでいる。