2004年に創立されて今年で10周年を迎えた日本国際客家文化協会はそれを記念し、8月3日に明治大学駿河台校舎アカデミーコモンにて「客家と多元文化」国際シンポジウムを開催した。
同シンポジウムには日本国際客家文化協会及び国際アジア文化学会のメンバーらのほか、台湾からは國立台湾大学国家発展研究所教授・邱榮舉氏をはじめとした「2014台湾大学国際客家学術文化交流参訪団」メンバーが11人、香港からは香港客家文化研究会・林文映会長、中国大陸からは嘉応大学・劉明貴副校長率いる嘉応大学客家研究関係者ら2人が参加した。約50人近く集まった参加者は、講演会を通じて客家に対する理解を深め、国と政治を超えた客家の繋がりを共有した。
日本国際客家文化協会・岡村央棟会長は10周年を迎え、「10周年記念の同シンポジウム開催は1年前から企画していた。最大の目的は、台湾、中国、香港から講師を招いて日本で多元文化交流を行い、絆を深めることだ。客家は政治、思想、宗教などを問わない。同シンポジウムを通じ、世界平和に貢献できればとも思っている。人類は皆兄弟だ」と語った。
また、日本国際客家文化協会・鍾清漢名誉会長は「客家も色んな文化と交流しなければならないという意味を込めて、同シンポジウムを『客家と多元文化』と名付けた。これからも日本国際客家文化協会を着実に充実させていきたい」と述べた。
同シンポジウムは2部構成で、1部は広島市立大学の飯島典子准教授による講演「雲南からインドシナ内陸地区の客家氏族—雲南の江西と広東出身者」や、国立民族学博物館・河合洋尚教授による講演「ベトナム客家の移住とアイデンティティ—ンガイ人に関する覚書—」のほか、邱榮舉氏、国立台湾師範大学通識教育中心・黄玫瑄講師、国立台湾大学客家研究中心・蔣絜安顧問による講演「鍾肇政と台湾客家の発展について」などが行われた。なかでも河合教授によるベトナム客家についての講演は、今まであまり研究されてこなかった分野であったため、多くの参加者の興味を惹いていた。
なお、蔣絜安顧問は、客家人のなかでも大変重要な人物である小説家・鍾肇政の息子の嫁で、同講演では鍾肇政の88歳の誕生日に贈ったという客家伝統工芸の織物を披露し、それについて説明した。同織物は小さい四角に切ったバラバラの柄の布、およそ1万5千個を約2ヶ月間かけて繋ぎ合わせ、鐘肇政の顔と鍾肇政が最も好きだという「達觀」の文字を表現した大作であった。