アジアの人形芸能・ポテヒ(布袋戯)の団体「台原偶戯團」は9月23日、東京都国立市のコミュニティスペース旭通りにて日本公演を行った。同公演はポテヒ日本公演実行委員会がアジアに於けるポテヒの交流を目的に主催した企画の一環で、別日には台湾の他に日本初来日のインドネシア団体「Fu He An(福和安)」による公演や台湾、インドネシア両団体によるワークショップ&デモンストレーションが開催され、日本人にポテヒの魅力を伝えた。
23日の台湾単独公演では、中国語がわからない外国人でも楽しんで見られるよう言葉をあまり用いないタイプの演目「儀礼戯」と「台湾人形劇万華鏡」が行われた。来賓として訪れていた台北文化センターの朱文清センター長もこれについて「私もポテヒは小さいころから見ていた。海外公演のために外国人向けの演目を用意して観客を楽しませている同団体は素晴らしいと思う」と述べた。
公演中は人形とは思えない繊細な動きや、銜(くわ)えたばこから実際に煙がでる演出、そして皿回しの演技などで観客を魅了した。公演後、観客らは実際にポテヒの人形に触ってみたり、舞台裏を見学したりして団員と交流していた。
初めてポテヒを見たという日本人女性は「1カ月前に台湾に行った時、ポテヒの事を知り、ずっと見てみたいと思っていたので今回は楽しみにしていた。人形にも実際に触らせてもらったが、頭の部分以外布で出来ているこの人形で色んな動きを表現しているということに感動した」と話した。
人形使いの賴世安さんは「今回は日本の皆さんにポテヒを見て頂けてとても嬉しい。私たちは世界各国で講演しているが、国によって見ているときの反応が異なっていて、そこが面白いところだ。例えばヨーロッパや台湾で公演するときは観客の皆さんは会話をしたり大笑いしたりしながら見ているが、今日、日本のみなさんは静かに見ていたから楽しんでくれたか不安だったが、公演後に『楽しかった』と皆さんに声をかけて頂けて安心しました」と述べた。
~ポテヒ~
17世紀の中国・福建省にルーツを持つとされる人形劇で、現在では台湾をはじめ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、ミャンマーでも上演されている。人形は木製の頭部と手足、布製の身体部で出来ており手を入れて操っている。戯台と呼ばれる寺廟に類似した舞台を設置して上演する。現在では時代の移り変わりによりポテヒは多様化され、言語や音楽に特有のスタイルを持つものが多くなってきている。また、最近台湾ではテレビでも放送されており、若い人からも人気を得ている。