最近、日本の俳優が出演している台湾ドラマや台湾映画を良く目にする。11月21日に行われた台湾の金馬奨ウェルカムパーティーで観客賞と国際批評家連盟賞をダブル受賞した台湾映画「KANO 1931海の向こうの甲子園」では、日本の俳優・永瀬正敏が、台湾の民放で放映された台湾ドラマ「ショコラ」には女優の長澤まさみがそれぞれ主演を務め、全編に渡り流暢な中国語を披露して話題になった。さらに、俳優の平岡祐太も台湾ドラマ「熱海恋歌」に出演し、日本語・中国語・台湾語のセリフに挑戦した。
一方、日本のドラマ「GTO」では、主要出演者(EXILEのAKIRAや山本裕介など)を変えずに台湾で撮影を行い、台湾編として放送。中国大陸で12月2日、台湾では12月5日に公開予定のアジア映画界を牽引する巨匠ジョン・ウー監督の最新作「太平輪」には金城武、長澤まさみ、黒木瞳といった大物らが出演する。このように、日本に留まらず、台湾の作品に出演し、国際的に活躍する俳優らが増えてきているのは紛れもない事実だ。先日高雄映画祭に参加した俳優の瑛太も「話があれば台湾の作品にも出てみたい。とても興味がある。喧嘩のシーンなどで中国語のセリフを言ってみたい」と、台湾作品出演に積極的なコメントを残していた。
もちろん、台湾で活躍する映画業界の日本人は俳優だけではない。むしろそのきっかけを作る日本人の存在もある。国際合作の映画やドラマ、音楽番組などをプロデュース・企画している会社Creative Artists Japanの齋藤しゅんさんもその1人。「ショコラ」や「太平輪」のプロデューサーを務めるなど、いわゆる日台合作作品の仕掛け人だ。
ホテルグランパシフィックLE DAIBAで10月22日にJapan Content Showcaseの映像部門「TIFFCOM2014」で行われた講演会で齋藤さんは、日台合作を手掛ける理由について、「日本人国際俳優育成」という。講演会では「役者は自分の生きる世界を広げることが、自分自身の人に対する影響力を広げることになる。自分の影響力を理解し、変換し、人の心を動かす力を持っているのが国際俳優だ。国際俳優には国と国の未来を変えることさえ出来る」と、国際俳優の必要性を話していた。実際、長澤まさみはショコラの出演をきっかけに自身のフェイスブックに中国語での応援メッセージが増え、今ではメッセージの約3分の1が中国語となったという。さらに、台湾でも影響力を持つようになり、「国際俳優として慈善活動に貢献することは当然だ」とする齋藤さんと長澤まさみ考えのもと、2012金馬影展では、東日本大震災時の台湾に対する感謝のスピーチを全て中国語で五分間行った。これをうけた台湾側の反響は大きく、長澤まさみはまさに国際俳優としての役割りを果たしたと言える。このように台湾で活躍する日本人役者が増えることで、日台関係がさらに向上していく事と見られる。
「ビッグゲストを用意してショコラの第2段の計画を進めている。これから台湾のドラマにでる日本人俳優をもっと増やしていきたい」(齋藤さん)。さらに、「日本人俳優が台湾で活躍しているという事実を、台湾人だけでなく、日本人にも知って頂きたい。そして、台湾人俳優が日本作品に出演する機会が増えることを希望する(同)。影響力の大きい映像の力で日台友好関係が促進される事に期待がかかる。