日産自動車でGT-Rの開発・販売責任者を務めていた水野和敏氏はこのほど、複数の自動車メーカーを持つ台湾・裕隆グループ傘下の華創車電技術中心(HAITEC)の副社長に就任した。12月12日に品川の「TKPガーデンシティ品川」で行われた日本法人・華創日本(HAITEC JAPAN)の発足説明会で発表されたもの。また、水野氏は同時にHAITEC JAPANの代表取締役も兼任する。
HAITECは、裕隆グループ内の裕隆汽車が生産する「LUXGEN」ブランドの自動車の開発を手がけている企業。水野氏は「日本の高い技術力と、台湾の質の高い人的資源および低コストのインフラを使って、欧州メーカーを超える品質の自動車を目指す」と意気込みを話した。なおHAITEC JAPANは基盤技術の先行開発を手掛け、台湾で派生モデルの開発や生産を行うという分業も目指す。
日本メディアの報道によると水野氏は「日本は高度で先進的な技術を持っている。また、おもてなしという最高の接客サービスの手法もある。一方、台湾はITで世界一。これは人的な質が高くなければできない。質の高い人的資源をITだけではなく、工業製品にどう生かすか。これが台湾の次のテーマになっている」と今後の課題を述べ、さらに「日本と台湾が組めば欧州圏より強い人的開発圏ができるはずだ。このためには、共通の価値観と道徳観が必要になる。道徳観は大事なファクターだ。台湾に行くと、駅にゴミ一つ落ちていない。公共の概念、人に対する道徳観で価値観を共有できるというのは、グローバルにものを作っていく場合に大事なエッセンスだと思う」との期待感も示していた。