写真家の川島小鳥さんはこのほど、“青春”をテーマに台湾の若者を撮影した写真集「明星」を出版する。同作は、2011年6月から丸3年間、台湾に通い撮り溜めた7万枚を超える写真の中から、選りすぐりの作品を集めた台湾一色の写真集だ。台湾人ではなかなか気が付かない、日本人ならでは、小鳥さんならではの感性でみた台湾の若者のリアルな姿が写し出されている。
小鳥さんは若者を撮ろうと思ったきっかけについて、「台湾を撮っているうちに、台湾は全体的に青春っぽい雰囲気があると感じ、青春=若者という考えで撮影の対象を22歳以下の若者に絞りました」としている。なお、若者を撮るにあたり、小鳥さんは台南でオーディションを開催。台南で行ったにも関わらず、2日わたり行われたオーディションには台北や高雄などの台湾各地から若者が集まったという。「オーディションはしたけれど、撮りたい子は会った瞬間に決まっていました」と語る小鳥さん。撮った写真1枚1枚からは、台湾の若者の持つ素朴な青春が伝わってくる。
そもそも小鳥さんと台湾との出会いは、台湾でも人気だった小鳥さんの前作「未来ちゃん」(2011年)の展示会だ。それをきっかけに初めて台湾を訪れ、すぐに台湾が好きになったという。なかでも好きなところは台南で、小鳥さんは「ほっとするしあったかい気持ちになりますね。美味しいものも多いし人も優しい」と台南好きの理由を語る。
出版に先立ち、東京・青山のTOBICHIで2月11日より15日まで展示会を行った。期間中、台南好きの小鳥さんと台南のガイドブック「オモロイ台南」監修のヤマサキハナコさんとのトークショー「台南さえずり会」が行われ、グルメや観光など台南の魅力や、「明星」の撮影秘話などが語られた。トークショー後はサインや会話を通してファンとの交流も行われた。
トークショーを聴いた観客は「私は『未来ちゃん』の時から小鳥さんのファンです。台湾は、小鳥さんの写真の雰囲気にすごく合っていると思います。『明星』の撮影スポットに行ってみたくなりました」などの感想のほか、「私は台湾人で日本に住んでいますが、小鳥さんが台湾のことをどのように紹介してくださるのかずっと気になっていました。小鳥さんは、台湾人が当たり前だと思っていて気が付かない台湾の素敵な風景や人を映していました」とコメントしていた。
なお、次の「明星」展示会は渋谷のパルコミュージアムにて開催される (2015年2月27日~3月15日まで)。出版元のナナロク社によると、今後は台湾でも「明星」の発売が予定されており、それに合わせて展示会も台北、台中、高雄と順次開催していくという。