「台湾と中国の両岸問題は世界の問題である」。
台湾の呂秀蓮元副総統は台湾新聞のインタビューに答え、日、米その他諸外国が両岸問題に関心を寄せるべき理由を語った。
台湾は、中国の軍事戦略上の戦力展開目標ライン、対米防衛線を意味する第一列島線の中間に位置している。呂元副総統によると、もし台湾が中国のものとなった場合、第一列島線の中心点である台湾を制御することとなり、これにより中国によるアメリカへの同線が確保されてしまい、さらに中国の排他的経済水域も広がる。これは日本や台湾近隣諸国にとっても不利なことになるという。さらに呂元副総統は「中国は陸の大国から海洋の大国になろうとしている。一度台湾をつかんだら、すぐに日本とアメリカに挑戦してくるだろう、第一列島線と第二列島線の海洋は全て中国の内海になってしまう、これは最大の危機だ、これは台湾人の問題だけではなく、日本、米そして世界の問題なのだ」と述べ、台湾以外の国も厳密に注意すべき、と主張した。
中国からの侵略を防ぐために、呂元副総統は「台湾の永世中立国としての確立」を掲げている。台湾が永世中立国となることで自国領土が戦争目的で用いられることを回避し、紛争になるような事態の生起を許容しない義務を負い、中立、平和、友好、繁栄、多幸なる国となるという考えだ。
台湾を永世中立国にするためには住民投票を行うことが必要となっており、住民投票には約10万人の署名が必要であるという。「台湾はすでに、独立した国である。1996年自ら総統を選出した後、4年に1回総統を自分たちで選んでいる。台湾人は台湾が独立国家だという共通意識を持ち、世界に向けて台湾の役割は平和と中立だということを訴え続けるべき」。また、よりよい日台の関係を構築するため策については、「日台平和大使の設定」、「日本に於ける台湾関係法の成立」、「日本台湾友の会の設立」の3つを提案。これらの実施は、台湾へ関心をよせる日本人の増加にも結び付き、さらなる友好関係が望めるだろうという持論からでもある。
「台湾をアジアのスイスに!」
台湾の永世中立国としての確立を目指す呂元副総統は「台湾をアジアのスイスに」をスローガンにこのほど訪日し、2月24日、東京・有楽町の日本外国特派員協会(FCCJ)にて「変化するアジア太平洋地域における台湾の選択」と題した講演会を行い、100人近く集まったFCCJのメンバーやジャーナリストらに対し、台湾の現状や「永世中立国としての確立」について熱く語り、理解を求めた。
約1時間にわたる講演会後、質疑応答が行われ、FCCJのメンバーからは台湾次期総統選の行方など、台湾の政治状況などについて、途切れることなく質問が続いた。
呂元副総統は同講演のほかに、ともに来日していた元国防部長の蔡明憲氏や元国家安全会議副秘書長の張旭成氏の同伴のもと、参議院の三原じゅん子議員及び田中和徳組織運動本部長、木原稔青年局長との面会や、元内閣総理大臣の森喜朗氏、日華議員懇談会の会長の平沼赳夫氏らとも面会をした。呂前副総統は今回の来日で「台湾が永世中立国になるための支持を仰ぎ、在日華僑や政治家をはじめとした日本の皆様から多数の賛同を頂けた」と成果を述べた。