台北駐福岡経済文化弁事処の戎義俊処長が、3月で退任する九州国立博物館の三輪嘉六館長を18日、訪問した。退任する三輪館長は、2005年に開館した九州国博の初代館長で、開館前の設立準備室長時代を含めて、約13年間、九州国博の指揮を執ってきた。多くの展覧会を手がけ、在任期間中の観覧客数は約1200万人、アジア各国の博物館との学術協定も進めてきた。三輪館長の功績として、文化財の保存や修復等で協力体制も構築するなど、九州在住者の歴史観覧文化を大きく浸透させたことも挙げられる。現在では、九州国立博物館は、まさに「アジアの交流拠点」としての地位も確立しつつある。
昨年秋に開催された「台北・国立故宮博物院展」(10月7日〜11月30日)で、九州国立博物館と台湾とのパイプは強まった。この展示会は、九州国博開館以来の集客動員で、第5位の約25万6000人を記録(1位は、2009年の国宝・阿修羅展で約71万人)、九州での「台湾」の強烈なアピールに繋がった。台湾政府挙げての取り組みだけに台湾政財界としては日本との交流活発化に向け、大きな起爆剤となった。
感謝状を贈った戎処長は「故宮博物院展の開催は、台湾と日本の距離感を縮めることに繋がった。台湾での『九州』の知名度を大きく高め、今後の文化交流にも大きなきっかけとなった」と感謝の意を表し、三輪館長は「これまで1200万人の来場者をお呼びできたことは非常に感慨深く、任期中に『故宮博物院展』を開催することができたことも非常に光栄だ。在任期間中は、市民や職員など多くの方々にお世話になり感謝している」と述べた。新館長は、現東京国立博物館副館長で日本書道史を専門とする島谷弘幸氏が就任する。