京浜急行電鉄(原田一之社長=京急)と京急グループの京急ショッピングセンター(宮木恒夫社長)は5月24日、神奈川県の京急ファインテック久里浜事業所内で行った「京急ファミリー鉄道フェスタ2015」で、交通部台湾鉄路管理局(周永暉局長=台鉄)と今年2月に締結した友好鉄道協定締結を記念して「台鉄弁当セット(税込1900円)」を販売した。
「京急×台鉄」のコラボ商品販売は今回が初めて。販売は2カ所で行われ、同所の京急ショッピングセンターブースでの限定1000個は午前中で売切れ、京急久里浜駅直結のウィング久里浜2階改札前入口での限定100個は開始後約20分で売切れだった。
また、同イベントでは同弁当販売のほか、「台鉄×京急友好鉄道協定締結記念乗車券(1セット1500円)」を1500部発売したが、これも販売前から大行列が出来るなど大盛況だった。同乗車券は、京急線の車両と台鉄の車両をそれぞれ3車両あしらったデザインで、京急路線でのみ使用可能。
なお、記念乗車券購入特典として650人に友好鉄道協定締結を記念した万年毛筆、クリアファイルなどのオリジナルグッズ(非売品)及び台鉄オリジナルグッツが当たるスピードくじも実施した。
今回販売されたお弁当は、台北駅内にある人気の駅弁、「臺鐵便當本舗(たいてつべんとうほんぽ)」のレシピを再現し、友好鉄道協定締結記念デザインが入った「京急×台鉄」オリジナルバッグと、臺鐵便當本舗で販売されている金属製弁当箱をセットにしたもの。
お弁当の内容は、ご飯の上に八角や五香粉、花椒や醤油、酒、玉ねぎ、にんにくなど約10種のスパイスや調味料などが入った特製タレにくぐらせた排骨(台湾風豚カツ)と、タレに漬けこんで味が染みた煮玉子、野沢菜の漬け物がのった一見シンプルなもの。
このお弁当の製造を担当したミールワークスの専務取締役の熊谷亜里さんは「ご飯にタレがしみ込む具合や台湾の風味を出すため、何回も台湾に通い本場の味を研究した。完成までに3ヶ月かかった」と苦労を語り、「台湾の味を再現しつつ、日本人に食べやすい弁当にするため、ご飯は日本産のものを使用、排骨は骨なしの大判豚肉を使った」と創意工夫した点を述べた。熊谷さんによるとミールワークスは8年前に新宿・京王百貨店で行われた駅弁大会に台鉄が弁当を販売した際にも製造を協力しており、元々現地の味に親しみを持っていたという。
同弁当を購入し早速休憩所で味わっていた子供連れの家族は「タレのしみ込み具合が美味しい。どこか懐かしい味がしますね。台湾に行きたくなりました」とコメント。また、台湾好きの夫婦は「台湾でもこのお弁当を食べた事があります。今日販売されたお弁当は日本人にも食べやすい味になっていました。しかし本場の味が食べたい時はやはり台湾に行かないとですね」との意見もあった。
同イベント会場でお弁当販売の様子を見守った宮木社長は「6月に品川駅構内にあるウィング高輪WESTで台湾フェアを開催し、そこでも同弁当を販売する予定です。さらに羽田発台北2泊3日の旅などが当たるプレゼントキャンペーンや、台湾雑貨の催事販売も企画しています。このように台湾観光局や台鉄とコラボ企画を実施することで日台の観光客の相互往来に寄与できればと思っています」と話していた。
また、台湾からこの日のために駆けつけた台鉄の貨運服務総所の黄振照総経理も「同弁当の人気ぶりに驚いた。台湾観光局によると今年の台湾人訪日旅行客数は先月までで114万238人となっており、今年は昨年の283万人を超え、300万人を突破するのではないかと思う。台鉄も旅行客数の増加のために頑張りたい」と述べていた。
台鉄と京急電鉄は今年の2月26日、両者沿線の利用者拡大をめざし「友好鉄道協定」を締結した。両者はともに1948年の設立という事もあり、また、都市間輸送、観光輸送を担い、互いに河津桜の観光名所を持つなどの沿線における共通点も多いことから協定締結に至った経過がある。