台北駐福岡経済文化辨事処の戎義俊処長が、7月上旬、九州・山口のブロック紙「西日本新聞」に寄稿、映画「KANO」で表現された「台湾人の伝統の精神」を訴えた。夏の高校野球・甲子園大会に、84年前、全国野球大会に台湾代表チームが出場。初出場で決勝まで勝ち進んだ台湾の嘉義農林高校(略して嘉農/KANO)で、日本人、台湾人、台湾先住民の混成チームであった。
原稿を執筆した戎処長は「八田与一は、10年近い年月をかけ烏山頭ダムと灌漑用水路を建設し、嘉南平原を台湾一の穀倉地帯に変えた台湾の恩人だ。八田は『日本精神』を代表する一人であり、台湾人は『日本精神』という言葉に誇りを持っている。『日本精神』は生活の柱となり、今も台湾人の中に生き続けている」と話す。
早稲田大学在学時代の卒業論文のテーマとして「嘉義農林高校の甲子園での奮闘」を取り上げた台湾旅グルメ番組の司会者・阿松氏は、戎処長の寄稿掲載について「戎処長の文章は心を打ち、多くの読者を感動させるものであった。戎処長はラジオ番組等の表現からも情熱や温かさを感じ、リスナーからも多くの反応がある。戎処長のご尽力により『台湾』に興味を持ち始めた九州在住日本人も少なくない。この情熱のこもった寄稿により、台湾の歴史や文化を、さらに多くの九州の人に知ってもらえたのではないか」と話す。台湾撮影歴が長い立川幹二朗カメラマンは「戎処長の言葉からは『人柄の良さ』が存分に伝わってくる。ユーモアも多く、ラジオや原稿も本当に聞きごたえ、読みごたえがある」と目を見開いて話す。
戎処長は「日本の若い世代にも、勤勉、強い責任感、法の順守、人を思いやる心、忍耐などの『日本精神』を受け継いで欲しい。『日本精神』を失わなければ、日本は世界のリーダーとして発展していくだろう」と話している。