台湾新政党「時代力量」主要メンバー2人が来日講演

0
「時代力量」の林昶佐(左)と洪慈庸(右)が来日講演を行った
「時代力量」の林昶佐(左)と洪慈庸(右)が来日講演を行った

今年1月に結党した台湾の新政党「時代力量(=時代の力、New Power Party)」の主要メンバーである林昶佐と洪慈庸は9月23日、在日台湾人団体に招致され京王プラザにて来日講演会を行った。来年2月に迫った次期総統選挙と同時に行われる立法院選挙にも擁立している2人は、日本在住の台湾人らに対し、同党の役割や未来の台湾への希望などを語った。

同党のメンバーは現在、弁護士や歌手など様々な業界から集まった6人。講演を行った2人のほかに、邱顯智、柯劭臻、馮光遠、黃國昌の4人がいる。彼らは、台湾で2013年におきた洪仲丘事件に対する約25万人規模の抗議デモ「公民教育召集-仲丘に正義を」や、2014年3月に学生らが主体となって行った約70万人規模の抗議デモ「ひまわり学運」など、いずれも若者が主体となった政治的行動を受け、「政治に積極的に参加するようになった若者の声、国民の声を代弁できる政党」をめざし立ち上がった。

洪慈庸は、先に述べた洪仲丘事件の被害者である故・洪仲丘の姉にあたる。政治に無頓着であった彼女は、同事件をきっかけに、同事件以外にも政府が解決してこなかった理不尽な事件が数多く存在することを知り、台湾の政治に向き合うようになった。

洪慈庸は弟の事件とひまわり学運を振り返り、「これらの出来事により、多くの国民が今目覚めなければまずいということに気が付いた。昨年11月の六合一選挙で台北市長に当選した無所属の柯文哲氏も、『この2つの出来事がなければ私の当選もなかった』と言っていた」と説明し、「若者はここ数年でどんどん政治に目覚め始めている。私たちが求めているのは、若者の声を代弁し、若者の痛みがわかる政府である。今の政治家がそれを実行できないのならば、私たちがそれにかわる働きをしていく」と同党の役割を述べた。

また、台湾ヘビーメタルバンド「ソニック(CHTHONIC、閃靈樂團)」のボーカル・フレディとしても知られている林昶佐は「近年の政府に対する一連の抗議活動は若い世代が行ってきたものだ。SNSを駆使したそのやりかたは10年、20年前とは大きく変動している」としたうえで、現在の政治は、討論だけに重きをおき、実際の行動に移さない状況であるという問題点を提示。「私たちは、3割は頭を使って考え、後の7割は行動に移す」と述べた。

また、先日日本でも安全保障関連法案に反対を訴えた若者らが抗議活動を行ったことについては、「台湾の若者によるデモ活動は国民に希望を与えた。しかし、台湾の若者は台湾のために努力してきたのではなく、自分たちの未来のために動いたのである。日本の内政については何も言えないが、日本の若者も、自分の未来のために自分のことを決めていかなければならない」とした。

林昶佐は来年の立法院選挙で台北市第5選区に、洪慈庸は台中市第3選区で出馬するほか、同党の他のメンバー4人も困難選区に出馬し、台湾政治の革命に挑む。

 

 

 

洪仲丘事件

徴兵により新竹県湖口郷陸軍六軍団甲542旅に伍長として所属していた故・洪仲丘が2013年8月、除隊直前に上官からの理不尽な処罰を受け、この世を去ったというもの。これを受け、真相究明・軍内改革などを訴える遺族や賛同者らが当局に対し、正義を求めた同抗議デモをおこした。主催団体の発表で約25万人もの国民が集結し、2014年春の「ひまわり学運」への流れを作ったとも言われている。

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here