国民党の公認総統候補、異例の大どんでん返し

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国民党の次期総統候補に擁立した朱立倫主席(提供:中央社)
国民党の次期総統候補に擁立した朱立倫主席(提供:中央社)

来年1月に行われる次期総統選挙の国民党候補に選出されていた立法院副院長の洪秀柱氏の公認が10月17日、臨時党大会で取り消され、新北市長の朱立倫氏を改めて擁立するという前代未聞の事態が起こった。

洪氏は大会前、「公認取り消しなら合理的で正当性があり、合法的でなければ認められないが、党員としては受け入れるしかない」と半ばあきらめの言葉を述べて退席。その後、大会では洪氏の公認取り消し案を挙手による賛成多数で可決。その後、朱氏が指名され、出席者多数の起立で決定した。朱氏は決定をうけて「鍵となるこの時期に決断せざるを得なかった」、「当選したら、台湾のため、新北市民のために尽力する」と市民に理解を求める発言をした。

台湾メディアによると、国民党候補交代の背景には、洪氏が中国との統一を容認するかのような発言を連発したことが関係しているという。今回の総統選は立法院選挙と同時に行われるため、洪氏のこの発言により総統選での劣勢が影響することを怖れた立法委員たちが反発し、洪氏の公認を取り消して朱市長の擁立を求めていたのだ。

そして、異例の投票約3カ月前に国民党公認次期総統候補となった朱氏は19日、新北市長を辞職せずに総統選に出馬する方針を決め、市に休職を届け出て、総統選に向けた活動に専念する姿勢をみせた。しかし、当初、次期総統選で国民党の本命とされていた際に「出馬せず、新北市長としての任期を全うする」と断言していた朱氏の変貌ぶりに、民進党の報道官は同日、「自分と党のことだけを考え、市民のことを考えていない」と批判した。これに呼応する形で民衆からは不満の声も相次いだ。

民間シンクタンクの台湾智庫が10月27日に発表した総統選に対する世論調査によると、民進党の蔡英文氏が48.1%、国民党の朱立倫氏が16.3%、親民党の宋楚瑜氏が10.4%となっており、宋氏を除いた調査では蔡氏が50.9%、朱氏は20%と、いずれとして民進党が国民党を大きく上回る結果となった。

世論調査を見てもわかる通り、このほどの朱氏の総統候補擁立は、国民党の支持回復にはあまり影響を及ぼせなかったように見られる。

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